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吟遊旅人ピピのシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。感謝。

ラッシュ/プライドと友情

映画

 すっかりこちらのブログはご無沙汰になってしまっていますが、またボチボチと映画の感想をつづっていきます。過去に見た映画のことをアップできていないので、遡及していきますが、既に記憶が薄れているため、どれだけきちんと書けるのか心もとないところではあります。

 最近は、見たばかりの映画の短い感想やつぶやきはフェイスブックに書いているので、興味を持ってくださるかたはそちらもご覧ください。

 できるだけ過去の良品を挙げていきたいと思っています。最新作も時間があれば書きます。

 

 では映画の感想。

 

 感動作という触れ込みだからどれだけ感動するのかと思いきや、やや空振り。実話に基づく話だから突拍子もないことは描けないわけであり。

 伝説的のF1レーサー、ジェームズ・ハントニキ・ラウダの熾烈な闘いとちょっとひねくれた友情を描く。

 イギリス人のジェームズ・ハントは享楽的かつ豪放磊落な男で、貴族をパトロンとしていた。一方、オーストリア人のニキ・ラウダは生真面目で緻密。まったく性格の異なる二人はことごとくのレースで1位と2位を争う好敵手だった。1976年、F1の年間チャンピオンを争う2人に大事故が起きる。前年チャンピオンのニキが王座を守るのか、ジェームズが奪うのか、覇権の行方がニキが大きく注目されたが、実際にはニキがジェームズを引き離す展開となっていた。ところが地元ドイツでのレースで大事故が起きる、、、、

 F1どころかそもそも車に興味のないわたしでも面白く見ることができたのだから、やはりロン・ハワードの演出は磐石だ。時代が1970年代半ば、というのも懐かしくて個人的には大変興味深い。ジェームズ・ハントの妻がトップモデルで、なんとリチャード・バートンとW不倫熱愛してエリザベス・テーラーとの離婚原因になったとは。

 肝心のレース場面の演出はなかなかのもの。F1レースの方法もルールも何も知らなくてもそのスピード感には手に汗握る。コクピットの中も映されていて、レーサー目線での場面も迫力がある。劇場で見ていたらさぞやどっぷりとその世界に浸れたのだろうに、自宅モニターでDVD鑑賞とは残念だ。

 ニキとジェームズが正反対の性格をしているにもかかわらず妻はどちらも美人である。ずるい(笑)。しかし浮気と酒とドラッグまみれのジェームズは妻に簡単に愛想を尽かされる。ニキは新婚早々の幸せ絶頂のときに「幸せは敵だ。僕を弱くする」と苦悩している。どこまでも真面目で堅物でストイックな人間である。

 圧巻はニキが瀕死の重症を負う場面。これは実写映像も映し出されるが、よくこの猛火の中を生還できたものと驚くばかり。ニキはまさにど根性の人であった。そしてその根性を支えたのがジェームズへのライバル心。2人はかなりむき出しのライバル心を見せ付けあい、口汚く敵意を吐きあっている。どこが感動作なんだ、と思いきや、最後になっていきなり「彼はわたしが嫉妬したたった一人の男だった」なんていうニキの独白が入ると妙に納得してしまう。二人の典型的に異なるレーサーの性格描写が細かく、興味深い作品だった。

 期待値を上げすぎなければよし。

RUSH
124分、アメリカ/ドイツ/イギリス
監督: ロン・ハワード 、脚本: ピーター・モーガン、音楽: ハンス・ジマー
出演: クリス・ヘムズワースダニエル・ブリュールオリヴィア・ワイルドアレクサンドラ・マリア・ララ、ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ