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吟遊旅人ピピのシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。感謝。

マダム・イン・ニューヨーク

映画

 

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 1日5本立てを敢行した日、「オズの魔法使」の次に見たのはこれ。これは楽しい。最後に婚礼シーンがあって参加者一同が踊りまくる。映画館でわたしもついつい座ったままステップを踏んでしまった。


 インドに住む専業主婦シャシがニューヨークに住む姪の結婚式を手伝うために単身出かけたはいいけれど、英語がさっぱりわからないために家族にもコーヒーショップの店員にも馬鹿にされ、悔し涙にくれる。一念発起したシャシは誰にも内緒で「4週間で英語がしゃべれるようになる」という語学クラスに入学し、猛勉強を始めることに。

 女性監督が女性のために作った、正統派フェミニズム映画。すべての主婦たちの悔しさが代弁されているかのような脚本には胸がすく。夫と子どもと義母のために尽くすことを良しとして生きてきたシャシ、彼女の得意技はラドゥという揚げ菓子作り。これをケータリングで届けて小銭を稼いでいるが、グローバルに活躍するビジネスマンの夫はシャシの菓子作りを手慰みの遊びみたいなものとしか見なしていない。英語が苦手なシャシは中学生の娘にも馬鹿にされている。どれほど美しいシャシでも、家族から尊重されていない自分が悲しいのだが、そのことを誰にも言わずじっと我慢している。そんなある日、渡米数十年の姉から、「娘がインド式の結婚式を挙げる」と知らされ、手伝いに行くことになったことをきっかけに、シャシの自立物語が動き出す。


 そもそもNY行きを決めたのはシャシ本人ではなく夫である。「準備を手伝うために先に一人で渡米しなさい」と命令されるのだ。空港のカウンターがまずは第一関門。その後は行く先々で英語の関門が待ちかまえている。わたしも英語が苦手だからシャシの気持ちがとてもよくわかってハラハラしてしまう。英語のレッスンを始めてからの彼女の表情がとてもいい。同級生たちの国籍もさまざまで、キャラクターが立っていて彼らの仲間意識が素晴しい。フランスからやってきたイケメンコックのローランに恋されてとまどうシャシを見て、「イケイケ、行ってしまえ! 妻を自分の持ち物としか見ていないような男はさっさと捨ててローランへ走れ!」と思ってしまうわたしはいけない女でしょーか。


 スローモーション多用の演出とかちょっとくどいところもあるけれど、物語のテンポといい、ギャグの緩急の付け方といい、ファッションショーのように美しいサリーを次々と楽しめるところといい、いちいち観客のツボをついてくるサービス精神に溢れている。


 ミニシアターは中年女性でほぼ満席、観客一同楽しめた模様です。何度でも見たくなる楽しい映画。ラストの落ち着きかただけが気に入らない。

ENGLISH VINGLISH
134分。インド、2012 
監督・脚本: ガウリ・シンデー、音楽: アミット・トリヴェディ
出演: シュリデヴィ、アディル・フセイン、メーディ・ネブー、プリヤ・アーナンド、アミターブ・バッチャン