今年の2月に長男Y太郎と映画館で見た作品。Y太郎が大喜び。いきなりクリチャン・ベイルがハゲ頭! いきなりクリチャン・ベイルが中年太りの太鼓腹!
どうやってあそこまで太ったのか、この人の役者魂はすさまじい。「マシニスト」で30キロのダイエットをやって骨川筋衛門になったと思ったら、今度は臨月並みの太鼓腹。こんなに痩せたり太ったりを繰り返したら身体に悪いだろうに。
さて本作は、1970年代終りにFBIが手柄を焦って贈収賄のおとり捜査に引っ掛けた政治家たちと詐欺師を描いた物語。実話に基づくとはいえ、実話がそもそも嘘のような話なので、どこまで実話なのか作り話なのか境界が曖昧なところが面白い。実際の関係人物たちはもっと年上だったようだ。アブスキャム事件と呼ばれるスキャンダルを大胆に脚色した手腕は買えるが、話がややこしい割にはそれほど面白いとは思えない。
主人公アーヴィンの若い妻ロザリンがアホ過ぎる。「意思の力よ。本で読んだの」てなんやそれ。ジェニファー・ローレンスがあほらしいほどアホな妻をしゃべくりで演じていて、存在感をアピール。このロザリンが映画全体のキーパーソンとも言えるほど、実は大きな存在なのだ。
アーヴィンの愛人かつ詐欺の相棒を演じたエイミー・アダムスがもう四十歳なんて、彼女も年をとったもんだわ。素顔のときと化粧しているときのギャップが大きい。彼女はイギリス人を騙っていて、イギリス訛りの英語(クイーンズ・イングリッシュってのですかね)をしゃべっているのだが、途中で正体がばれて、一瞬で訛りがなくなるというシーンがある。ここは英語がわかる人ならもっと楽しめるのになーと残念であった。
Y太郎曰く、「エンドクレジットのスタッフが異様に多いな。third editor まで表示されているのはやりすぎや。監督がエンドで音楽をかけたかったからやろうな」
確かに70年代ポップシーンのオンパレードは楽しかった。音楽の使い方がうまいから、とてもノリのいい映画になっている。予告編ではもっとどたばたコメディかと思ったけれど、意外に真面目な部分もある。
役者が豪華で、みなが皆うまいから、その点では全員がキャラ立ちしているため、とんがった感じがするが、キャラクターの面白さはあってもストーリー運びの面白さはいまいちだ。国家権力が騙しに手を出すという点では「アルゴ」と似たような設定の話だけれど、「アルゴ」のような緊迫感や爽快感はない。やはり「アルゴ」は相当によくできた作品だ。
というわけで、ほめてるのかけなしてるのかわからないけれど、それなりに面白いのであまり期待せずに見てよし、という作品です。
AMERICAN HUSTLE
138分、アメリカ、2013
監督: デヴィッド・O・ラッセル、製作: チャールズ・ローヴェン ほか
製作総指揮: マシュー・バドマン、ブラッドリー・クーパー ほか、脚本: エリック・ウォーレン・シンガー、デヴィッド・O・ラッセル、音楽: ダニー・エルフマン
出演: クリスチャン・ベイル 、ブラッドリー・クーパー 、ジェレミー・レナー、エイミー・アダムス、ジェニファー・ローレンス