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吟遊旅人ピピのシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。感謝。

トランセンデンス

映画

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 友人の映画ライターが「イタコ映画」とズバリ本質を突いたコメントをFacebookに寄せた、まさにその通りの映画。これは押井守作品からかなりのヒントを得ているのではないかと思われる。コンピューターネットワークの中で生き続ける人間の記憶、という発想が「攻殻機動隊」そっくりだ。

 人工知能を研究する学者夫妻のうち夫ウィル(ジョニー・デップ)が暗殺され、遺された妻エヴリンは友人(ポール・ベタニー)の力を借りて瀕死の夫の脳内記憶を巨大コンピューターに移し変えることに成功するが、、、というお話。コンピューターの中で夫は生き続け、世界中の知にネットワークでつながり、個人情報も軍事機密も盗み取って巨神となる。夫の暴走に妻も手を貸し、二人は砂漠の地下に巨大な工場を建設し、地上には膨大な数のソーラーパネルを設置する。この場面スケールの大きさには圧倒される。画の力ですな。しかしその分、時間経過の描写などはものすごくいいかげんで、途中から話がぐちゃぐちゃになってしまい、そこはもう眠くてたまらないのでよけいに展開がわからなくなった。クリストファー・ノーランの撮影監督が今回の監督だそうで、映像テイストは確かにノーラン作品に似ている。だが、細部のツメやそもそも脚本がノーランよりかなり劣る。

 

 人工知能で世界を救う、貧困のない社会を目指した研究のはずなのに、病気も障害も何もかも治癒してしまう神がかり的な力の前に、妻エヴリンも徐々に夫ウィルに疑惑の目を向けるようになる。これが自分たちが目指した理想の世界なのか?

 やがて軍隊がやってきてウィルたちの巨大施設を破壊にかかる。コンピューターの中で肥大化を遂げたウィルの自意識はどうなるのか? 肉体を持たない代わりに世界中のどこにでも現出可能なトランセンデンス(超越)ウィルを「殺す」ことは可能なのだろうか、、、

 

 ポール・ベタニーが<良い人>役で登場するのを初めて見た(笑)。この役者は変な役ばかりだったから本人も変人かと思っていたら本作ではとてもいい人だったので、たちまち評価替え。好きになりました。

 

 映像はやはり面白いので見ごたえはあるけれど、ストーリー展開や発想に目新しさがなく、その分退屈。映画館で観るならよいけれど、家のモニターで観て面白いかどうかは疑問。

TRANSCENDENCE

119分、アメリカ、2014

監督: ウォーリー・フィスター、製作: アンドリュー・A・コソーヴほか、製作総指揮: クリストファー・ノーランほか、脚本: ジャック・パグレン、撮影: ジェス・ホール、音楽: マイケル・ダナ

出演: ジョニー・デップモーガン・フリーマンポール・ベタニー

レベッカ・ホールキリアン・マーフィ