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吟遊旅人ピピのシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。感謝。

テルマエ・ロマエ II

 なんだか評判の悪い第二作なんだけど、どうしてどうして、わたしは十分に楽しみましたよ。楽しみすぎて後半は爆睡するほどのリラックスぶり。やっぱり温泉映画は見てゆったり、楽しんでゆったり、途中で寝るのもよきかな、よきかな。

 原作ファンとしては、映画がどこまで原作を超えてくれるか、その映画らしさを楽しみたいもの。その点では、漫画では絶対にできない表現(お約束)があったことを思い出した。テルマエ(風呂)技師のルシウスがタイムスリップするときに必ずオペラが流れる無意味なシーンがあったんだわ! これ、素晴しいアイデアです。こんなに無意味にプラシド・ドミンゴテノールが朗唱されるなんて、素晴しすぎる。その上、今回はバージョンアップして、二重唱まで聞ける。なんという素晴しさ。

 コメディなんだから、荒唐無稽なんだから、ローマの真面目な人間の真面目振りを茶化す話なんだから、無茶苦茶でもなんでも結構。面白ければそれでいい! 元来、ラテン系の男は女に目が無くて時間にルーズでええかげんで…というイメージがあるが、ドイツ人みたいに真面目なルシウス技師はとても古代ローマ人に見えない超絶真面目な態度をくずさない。ついでに、ローマ帝国本国人の誇りを失わず、平たい顔族(日本人)への蔑視ももちろん崩さない。これも素晴しい。日本を相対化できる絶好のチャンスである。日本人なんて、所詮は平たい顔なんだよ!

 ところでこの映画、実は真面目な反戦作品なんです。拡張に拡張を遂げるローマ帝国、つまり侵略に侵略を遂げるローマにあって、ハドリアヌス帝は平和路線を取り、獲得した領土を返還するという政策を敢行した。この映画は、拡張路線をいけいけどんどんで進める危険な安倍ちゃんへのアンチテーゼなのである。

 気のせいかもしれないけれど、阿部寛は前作よりもいっそうムキムキのマッチョローマ人になったのではあるまいか? 最近うちの次男S次郎が筋力増強に熱心で、毎日プロテインを飲んで筋トレに余念がなく、ひたすらムキムキ人間を目指しているので、妙に筋肉が気になる。

 そして、前作以上に豪勢なセット! グラディエーターたちが闘うコロッセアムのセットの壮大さには息を呑む。さらに、CGではなくてほんとうにエキストラを雇った闘技シーンには絶賛の嵐。これはブルガリアでロケした結果という。巨大セットをブルガリアで建築し、さらにCGで2万人分の観衆を描いたという画には圧倒される。これはぜひ映画館で見てほしいもの。

 個人的には、久しぶりに白木みのるが見られたのには感動した。この人、珍念のときからあんまり変わってないわ! 嬉しかったなぁ。いろんな意味で感動的な完結編、個人的にはすこぶる満足。後半寝てしまったのも含めて悔い無し!(笑)

 劇場内は笑いの渦が巻き起こり、実に楽しげだった。私の臨席の若いカップルもやたらおしゃべりしながら喜んでいたのが不思議と心地よかった。劇場内でおしゃべりする輩には厳しく指弾することを常とするわたくしだが、今回は逆に、あれこれとお喋りしながら笑っている観客の反応を見るのが興味深かった。映画を見て楽し。観客の反応を見て楽し。

112分、日本、2014

監督: 武内英樹、原作: ヤマザキマリ、脚本: 橋本裕志、音楽: 住友紀人

出演: 阿部寛上戸彩北村一輝竹内力、宍戸開、笹野高史市村正親キムラ緑子

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