吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

ワンチャンス

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 ジュルズを演じたアレクサンドラ・ローチはたれ目でぽっちゃり型の可愛い女優。決して美人とはいえないが、チャーミングだ。あ、「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」でサッチャーの若いころを演じていたんだ。あの時よりだいぶ太っている。

 これは、現在オペラ歌手として活躍するポール・ポッツが、様々な失敗を乗り越えてデビューするまでの感動の物語。まさに絵に描いたようなサクセス・ストーリーであり、見ていて気持ちいいことこの上ない。 

 ポール・ボッツは生まれながらに大きな声を持つ、そして子どもの頃からオペラが大好きな変わり者だった。教会で歌っていた少年時代、突然鼓膜が破れて倒れてしまう。その頃からいつもいじめられっ子で、大きくなってもいじめられてばかりいた。だが彼にはオペラ歌手になりたいという大きな夢がある。一年間メールだけのやりとりだったジュルズという優しい女性とも初めてデートした。やがてポールは留学の費用を捻出してイタリアへ行く。そこでパバロッティの前で歌うという栄誉に浴するのだが、持ち前の気の小ささが災いして、パバロッティには公衆の面前で「君は決してオペラ歌手にはなれない」と酷評されてしまう。失意のうちに帰国したポールをジュルズは拒否する。しかし必死にジュルズを口説き落としたポールは見事結婚へとゴールインする。ところがまたまたポールを交通事故が待ち受けていた……

 

 YOUTUBEには本物のポールの歌う姿がアップされている。ポールは素人歌合戦みたいな番組で優勝して見事ワンチャンスを生かすわけだが、実際の番組の映像が映画でも使用されていた。その場面はYOUTUBEで見ることができる。さらに、本物の妻ジュルズの肥満ぶりも見ることができる。アレクサンドラ・ローチはジュルズを演じるために精一杯太ったのだろうなぁ、と納得。

 映画は実際の話をかなり面白おかしく脚色し、また周辺に魅力的な変人を配してリズム感溢れる楽しい作品になった。夢を諦めないこと、努力すること、それが夢の実現にとつながる。こんな簡単なことを感動的に描いた、とても素直に楽しめる作品。気持ちがいいです。

ONE CHANCE

 104分, イギリス/アメリカ, 2013 

監督: デヴィッド・フランケル ,製作: マイク・メンシェルほか、脚本: ジャスティン・ザッカム、音楽: セオドア・シャピロ 

出演: ジェームズ・コーデン、アレクサンドラ・ローチ、マッケンジー・クルック、ヴァレリア・ビレロ、コルム・ミーニイ、ジュリー・ウォルターズ