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吟遊旅人ピピのシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。感謝。

カラヴァッジョ 天才画家の光と影

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2012年のベスト作品でレビュー積み残しをさらえていくシリーズ第2弾。

 いや~、堪能しました、完全版、たっぷり200分。この大河ぶりはやはりこの長尺でないと楽しめません。評判どおり、美術と映像が素晴らしいのはもちろん、音楽も甘美でよい。でも、それだけではなくてストーリーにも惹かれる。

 当時の風俗を丁寧に描いた点では動く博物館ともいえるこの作品。相当に時代考証に凝ったのだろう。時代劇好きにはたまらない魅力に満ちている。

 巻頭、幼いカラバッジョの初恋相手である年上の貴族の少女が泣いている場面のカメラの動きと光の繊細さにまずは惹きこまれた。この瞬間にこの映画に出会えた幸せを天に感謝。

 幼い頃から絵の才能を見せたカラヴァッジョはローマへと絵の修行に出るが、彼の斬新な画風は当時の画家達には受け入れられず、巨匠達に弟子入りを許されない。カラヴァッジョ本人の気性も荒く、周りと馴染めなかったり、スペインから流れてきたヤクザたちと悶着を起こしたりと、やんちゃぶりが目立つ天才破滅型人生を歩む。

 最初は売れなかった彼の絵の才能に目をつけたデル・モンテ枢機卿の庇護を受けるようになり、後は一気に時代の寵児となっていく。当時の絵の描き方としては斬新な、モデルを使って光と影のコントラストに力点を置いた写実的な画風を確立して、後世、バロック絵画の祖と呼ばれるようになるカラヴァッジョの魅力を余すところなく切り取っていく撮影の腕前はさすがのヴィットリオ・ストラーロだ。

 

 この手の大河ドラマはとかく粗筋をなぞるだけの薄っぺらなものになりやすいのだが、この映画ではカラバッジョの野心や失望、恋情、憧憬、情熱、ほとばしるような生命の力が生き生きと描かれている。登場する女性たちも美しく、映画的にはすこぶる付きの良品である。いつの時代もその先頭を走って新しいものを切り開く人間には強烈な個性が必要なのだろう。めくるめくカラバッジョの短い人生もまたしかり。その作品と同じく画家自身の人生もまた光と影の強烈なコントラストに彩られたものであった。そしてこの作品もまた、光にこだわった撮影が見事な印象を残す。何度見ても飽きない。

 

ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ(1571年9月28日 - 1610年7月18日)

CARAVAGGIO    

200分、イタリア/フランス/スペイン/ドイツ、2007   

監督: アンジェロ・ロンゴーニ 、脚本: ジェームズ・H・キャリントン 、アンドレア・プルガトーリ、撮影: ヴィットリオ・ストラーロ、音楽: ルイス・バカロフ   

出演: アレッシオ・ボーニ、エレナ・ソフィア・リッチ、ジョルディ・モリャ、パオロ・ブリグリ