吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

昼下がり、ローマの恋

 「ローマの休日」と「昼下がりの情事」を足して2で割って薄めてみましたらまったく違うものができました、ていう映画。 
 「イタリア式恋愛マニュアル」の第三作。これが第三作だとはまったく知らなかった。しかも第1作を観た覚えもない。さっき自分の感想を読み直したけれど、それでもほとんど思い出せない(~_~;)。第2作もあるはずで、それは見ていないはず。あ、見てません、劇場未公開。

 宣伝に騙された。これ、3話オムニバスだったのね。すっかりロバート・デ・ニーロモニカ・ベルッチの映画だと思い込んでいたが、それは第3話だったのであった。このシリーズは全作オムニバス形式だったのか。

 第1話「青年の恋」、第2話「中年の恋」、第3話「熟年の恋」。3話のうち、第2話がもっとも笑える。精神病棟が登場したりするのはイタリア映画だからか、とか勘ぐってしまうが、この映画に登場する精神病棟は開放病棟ではなさそうだ(→訂正。開放病棟だったような気が)。「病人」とその「被害者」を笑いものにするという際どい話だが、こういうのが赦されるのがイタリアなのか。でも実際、ついつい笑ってしまうから人間の笑いの質というのは困ったものだ。

 第1話の青年の恋はいったい何の話だったのか、1週間経って完全に忘れている。第2話はテレビのニュースレポーターがうっかり美女の誘惑に乗って浮気したばっかりにひどい眼に遭うというお話で、第3話がアメリカからやってきた元大学教授ロバート・デ・ニーロと夢破れてフランスからイタリアに戻ってきたモニカ・ベルッチのラブストーリー。第2話のテレビレポーターが第3話でも「ゲスト出演」していて、それが実に笑える。こういうものまで笑ってしまうかぁ〜とあきれるほど、なんでもネタにするのだな。

 第3話はまさに熟年男性の夢を描いたと言えるだろう。心臓手術を受けて妻と離婚、70歳近くになってローマで一人暮らししていたら突然友人の娘が闖入してきた。その娘というのがイタリアの至宝ですからね、こんな美人と恋愛できる67歳っていませんよ、ふつう。いくら40歳過ぎたとはいえ、やっぱりモニカ・ベルッチモニカ・ベルッチ。この人、世界一の美女だとわたしは思う。かつてのエリザベス・テイラーより美しいのでは。

 いずれにしてもたわいもないお話ばかりで、これを映画館でわざわざ見る必要もなかろうと思うが、終末の息抜きにたわいもない映画を見て頭を休めたい向きにはよさそう。特に中高年には元気が出るのでは。トスカーナの美しい田園風景やローマの街並など、観光映画としてツボはしっかり押さえられています。

 そうそう、オープニングのバックに "TAXI" という大きな表示が登場するので、思わずY太郎と二人顔を見合わせて(声を出さずに)大笑い。わたしたちにだけ受けてたみたいだけど、やっぱり「タクシードライバー」へのオマージュですか?

MANUALE D'AMORE 3
126分、イタリア、2011
監督: ジョヴァンニ・ヴェロネージ、製作: アウレリオ・デ・ラウレンティス、ルイジ・デ・ラウレンティス・Jr 、製作総指揮: マウリツィオ・アマティ、共同脚本:ウーゴ・キーティ、アンドレア・アニェーロ、音楽: パオロ・ブォンヴィーノ
出演: ロバート・デ・ニーロモニカ・ベルッチ、リッカルド・スカマルチョ、カルロ・ヴェルドーネ、
ミケーレ・プラチド、ラウラ・キアッティ