吟遊旅人ピピのシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。感謝。

ヒューゴの不思議な発明

 長男Y太郎もわたしも3Dだと頭が痛いので、2Dで鑑賞。しかし食後のレイトショーはいつも眠いのである。すごく面白かったのに途中で少々寝てしまった…。残念無念。ちょっとテンポの悪いところがあったのが眠りを誘われた原因か。

 全編これ、夢とファンタジーの世界。まるでスピルバーグが作りそうな映画だなぁと思いながら見ていた。しかしYに言わせると、「撮り方がスコセッシやな。『タクシードライバー』のときから撮り方が変わってない」とか。

 巻頭のカメラの素晴らしい動きは3Dで見るべきであったと思う。

 予告編以外の事前情報を一切仕入れずに見たので、予想と違う展開に驚いた。見終わってYと二人、「予想してたのと全然違う映画やったね、映画史のお勉強映画やったんか」とひとしきり言い合っていた。いい意味で期待を裏切られたので、わたしたちは大喜び。「ニューシネマ・パラダイス」とはまた違った、映画への愛が込められた作品だ。

 父親を亡くし、叔父に引き取られた少年ヒューゴが主人公。彼は叔父と共に駅舎の大きな柱時計の裏側にある機械仕掛けの屋根裏部屋に住む。駅で生活するヒューゴは時計の裏側から駅の人々の悲喜こもごもをじっと眺めている。鉄道警察官は花売り娘に恋しているのに、第1次世界大戦の戦傷によって足の不自由な身となったため、告白できずにいる。駅の売店に座っているおもちゃ屋のお爺さんは気難しそうだ。上品な老婦人を慕っている男がいて…。

 ヒューゴは父の形見の機械人形を完成させようと、歯車などの部品をおもちゃ屋から盗んでいた。その機械人形は父が勤めていた博物館にあったものだ。しかし、博物館が火災に遭ったり、焼け残った人形を学芸員(?)の息子が形見としてもらいうけるとか、そんなことがありえるのだろうか? などとまっとうな疑問をさしはさんではいけない。ヒューゴの父をジュード・ロウが演じているが、予告編での予想ではもっとジュード・ロウの出番があるかと思ったのに、ほとんどゲスト出演程度しか顔を見せてくれなかったのは残念。ま、その分、「シャーロック・ホームズの冒険」を楽しみにしましょう。
 で、わたしの予想ではこの機械人形がロボットとして動き始めてドラマが展開するはずだったのだが、物語は意外な方向へと動き始める。そう、映画史のお話へとつながっていくのである。


 映画の父、ジョルジュ・メリエスの登場は大変興味深い。この作品は映画史のおさらいであると同時に、メリエスの見果てぬ夢を実現させた「偽伝記映画」とも言える。映画(史)ファンにはお奨め。映画100年の歴史を原点に戻って楽しめます。メリエスが作った遊び心満載の映画の数々は今見ても途方も無く楽しい。できればもう一度3Dで見直してみたいものだ。
 
 子役がとても可愛く演技達者だったので、これも気に入った点。「モールス」では終始暗い表情を見せていたクロエ・グレース・モレッツが、本作では愛らしい笑顔を見せてくれたのも好印象。

 ところで、「『ヒューゴの不思議な発明』のパンフ問題」という興味深い文章がある。ご参考までに。http://images2.cocolog-nifty.com/blog/2012/03/post-e969.html

 「ハッピーエンドは映画の中だけだ」。

HUGO
126分、アメリカ、2011
製作・監督: マーティン・スコセッシ、製作: グレアム・キングほか、製作総指揮: エマ・ティリンジャー・コスコフほか、原作: ブライアン・セルズニック『ユゴーの不思議な発明』、脚本: ジョン・ローガン 、音楽: ハワード・ショア
出演: ベン・キングズレージュード・ロウエイサ・バターフィールドクロエ・グレース・モレッツレイ・ウィンストンエミリー・モーティマー