吟遊旅人ピピのシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。感謝。

歴史は女で作られる

 デジタルリマスター版で上映、総天然色が蘇った幻の名作とかいう惹句に乗せられて、長男Y太郎と一緒に先月末にシネ・ヌーヴォーで観た。初公開の折にはマックス・オフュルス監督の作品がプロデューサーのせいでズタズタに編集し直されてしまったといういわくつきの作品。オフルス監督は失意のうちに亡くなったというから気の毒だ。


 で、今回は監督のオリジナル編集に戻した完全版ということだが、して作品の出来は。

 実在の踊り子、高級コールガールといってもいい、ローラ・モンテスの伝記映画。演じたマルティーヌ・キャロルの美しさにはうっとりしたが、足が太いので笑ってしまった。あれで「踊り子」とはいかに。ダンスも下手すぎる。
 彼女はバイエルン国王ルートヴィッヒ一世の愛人であり、1848年革命の原因を作った女性である。まさにファム・ファタール、運命の女、世紀の悪女として名高い。彼女は次々と裕福な著名人の愛人となり、莫大な財産を手に入れたが、最期はアメリカに渡って39歳で極貧の中、死んでいる。映画にしたくなるような人生を歩んだ女性だ。ルートヴィッヒ1世といえば、狂王ルートヴィッヒ2世の祖父である。そうか、ヴィスコンティのあのルートヴィッヒのお祖父さんであったか。60歳のときに25歳のローラを愛人にするのだから元気な国王である。ルートヴィッヒ1世を演じたアントン・ウォルブルックが渋くてハンサムで素敵。ウォルブルック自身が60歳であるが、たいそう魅力的で、お爺さんには見えない。

 フランツ・リストも愛人の一人だったのだが、リストとの別れ方が粋だ。そういえば、「フランツ・リスト 愛の夢」という映画を大昔に観たなぁ。リストは色男であり、女性遍歴で有名だったそうだ。
 というような散漫な感想ばかりになるのも、この映画が散漫だから。


 セットは豪華絢爛、話はいまいち分かりにくいしマルティーヌの演技もうまくないけど、美術の凝り方やサーカスの豪華さには嘆息。演出は古色蒼然たるもので、時々笑いそうになったが、これぞ映画、という力瘤が入っている作品。色がどぎつくて辟易するけど、一見の価値あり。て、誉めてるのかけなしているのか分からない感想でした。

LOLA MONTES
THE FALL OF LOLA MONTES
120分、フランス、1956
監督: マックス・オフュルス、脚本:アネット・ワドマン、マックス・オフュルス、音楽:ジョルジュ・オーリック
出演: マルティーヌ・キャロル、ピーター・ユスティノフアントン・ウォルブルック、オスカー・ウェルナー、ウィル・キャドフリーグ、ポーレット・デュボスト