吟遊旅人ピピのシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。感謝。

ドラゴン・タトゥーの女

 「セブン」のテイストに戻ったか、フィンチャー。ひたすら暗くて残虐なシーンが続く、鬱陶しいほどに陰鬱な映画。

 「おお!」と思わせたのがオープニングのタイトルバックのフルCG映像と「移民の歌」の雄たけびだけというのはいただけない。MTVみたいと巷間言われているように、このプロモーションビデオぶりはおしゃれでよかった。だが、本編が始まると急にそのおしゃれ感が失速し、寒い国の寒い風景ばかりが映る。それはそれで玄人好みの画なのだが、期待していたものと違ったのでがっかり。

 話のテンポが速過ぎて、おそらくほとんどのアメリカ人はついていけないのではなかろうか。舞台をスウェーデンから動かしていないために、耳慣れない地名や人名が次々登場し、事態を把握するまえに次の展開へと移ってしまっている。わたしはオリジナル映画も原作小説も読んでいるから全部の展開がわかっているが、そうでない人には不親切な映画だろう。

 ストーリーは原作とほぼ同じ。ただし、原作が大部なので相当に刈り込んである。その、そぎ落とされた部分が実は面白いところなのだが、長い話のあらすじだけをたどっていくような粗い展開はよろしくない。初めて観たときのスウェーデン版の衝撃やワクワクする謎解きの面白さがまったく感じられず、リメイクした意味がない。これならスウェーデン版だけ見れば充分ではないか。

 しかし、やっぱりかっこいいダニエル・クレイグ。ま、わたしはダニエル目当てだったから、まあ良きかな、と。
 スウェーデン版の映画「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」の感想はここ。http://d.hatena.ne.jp/ginyu/20100620

THE GIRL WITH THE DRAGON TATTOO
158分、アメリカ、2011
監督: デヴィッド・フィンチャー、製作: スコット・ルーディンほか、製作総指揮: スティーヴン・ザイリアンほか、原作: スティーグ・ラーソン、脚本: スティーヴン・ザイリアン、撮影: ジェフ・クローネンウェス、音楽: トレント・レズナーアッティカス・ロス
出演: ダニエル・クレイグルーニー・マーラクリストファー・プラマースティーヴン・バーコフ
ステラン・スカルスガルド、ヨリック・ヴァン・ヴァーヘニンゲン、ロビン・ライト