吟遊旅人ピピのシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。感謝。

ロボジー

このコメディ映画は、ものづくりに人並み以上に思い入れのあるわたしには琴線に触れる作品だった。たわいもないドタバタコメディなのに、笑いながらもしみじみしてしまう。

 白物家電の木村電器が開発したロボットの名称が「ニュー潮風」というのもふざけているなら、ロボットの中に老人を入れて着ぐるみで誤魔化そうという木村電器のロボット開発部の3人も間抜け。しかも弱みを握られているから、この老人の言うがままに振り回される羽目になるこの3人は悲哀すら感じさせる馬鹿ぶり。

 この木村電器というのが町工場のノリを見せる中小悲哀企業。社長がそもそも漫画的ワンマン。ロボット開発部の3人も真面目なんだか手抜きなんだか馬鹿なのか頭がいいのか、さっぱりわからないところが笑える。ロボットのキャラクターデザインも古めかしくて惚けた感じがいい。なんか、すべてがわたしのリズムに合って、ほのぼのしてしまった。矢口史靖監督には「ウォーターボーイズ」と「スウィングガールズ」という学園コメディの大ヒット作があるが、わたしにはこの「ロボジー」が一番性に合った。登場人物の年齢が上がったせいもあるだろうし、舞台が学園から製造業の現場(にしてはちょっと…)に移ったせいもあるだろう。ロボジーならぬロボ爺を演じた五十嵐信次郎ミッキー・カーチスなんですよ、これが!)の飄々と憎めないわがまま爺さんぶりがたまらなく可笑しくていい。

 ロボット開発に失敗した3人組が、それでもなんとか本を読んで勉強しようと努力する姿は感動的である。やはり手抜きはいけません、手抜きは。物づくりの現場で精進と努力を怠らなければ、日本の技術もまだまだ未来はある! という、美しい着地点の映画。と思いきや、やっぱりコメディなんだな、これが。

 ロボットオタクの女子大生吉高由里子の、線が何本か切れていそうな感じも独特でよかった。予告編でさんざん流れてものすごく可笑しかった竹中直人のシーンは、あれだけだった。あの一番笑えるシーンを予告編であれだけ流してしまうといけませんね。竹中直人、もったいない。

111分、日本、2011
監督・脚本: 矢口史靖、製作: 亀山千広、新坂純一、寺田篤、音楽: ミッキー吉野
出演: 五十嵐信次郎、吉高由里子、濱田岳川合正悟川島潤哉田畑智子和久井映見小野武彦竹中直人田辺誠一