吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

ライムライト

 夕方18時半から上映の「午前十時の映画祭」にて、1月に鑑賞。観客のほとんどが中高年男性で、しかも一人客。カップルはわたしとY太郎の母息子という取り合わせだけだったのではないか。

 チャップリンミスター・ビーンに似ている、と気づく。いや、ミスター・ビーンチャップリンの<弟子>なんだ、そういえば二人とも顔の筋肉が柔らかくて柔軟な身体を十二分に生かしたパントマイムを見せてくれる。

 久しぶりに見たチャップリンの映画がこれほど説教臭いとは驚いた。前半、自殺未遂したテリーに説教を垂れる場面なんて、ありきたりなご高説ばかりで退屈してしまったので、少々寝てしまいましたよ(~_~;)。晩年のチャップリンの衰えがそのまま役柄の芸人カルヴェロに投影されていて、画面のチャプリンを見ているのがつらい。

 昔観たときの印象と違うような気がするなぁ…と思いながら見ていたら、最後になって突然圧巻の場面が出てきたので、心の中で拍手喝采。やはりバスター・キートンと組んだ最後のパントマイムは素晴らしかった。あんな身体の動きが出来る人間はほかにいないのではないか? Y太郎に言わせるとマイケル・ジャクソンならできる、とか。

 老いて消え行く人間と、若く未来前途洋洋の人間と。若い女に恋される幸せも老人にはつらいものでしかない、とばかりに身を引く哀れも歯がゆく、「愛されているなら、なにを躊躇う。若い女と恋に落ちたっていいじゃないか」と背中を押したくなるわたしはいけない女でせうか。

LIMELIGHT
137分,アメリカ、1952
製作・監督・脚本・音楽:チャールズ・チャップリン、音楽:ラリー・ラッセル、レイモンド・ラッシュ
出演:チャールズ・チャップリン、クレア・ブルーム、バスター・キートン、シドニー・チャップリン、ジェラルディン・チャップリン、エドナ・パーヴィアンス