吟遊旅人ピピのシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。感謝。

宇宙人ポール

 年末母子3本立ての2本目。しかし、Yはこれを観ずに「ミラノ、愛に生きる」を観て、「期待外れ。普通の映画やった」とやや不満顔。わたしのほうは宇宙人のコメディを観て笑っていたが、途中少し寝てしまった。

 

 アメリカというところはUFOのメッカである。昔から、米軍が宇宙人を匿っているとか、空飛ぶ円盤が落ちてきたとか噂がたくさんあるのだが、なぜか円盤が着陸・墜落するのは砂漠の真ん中だったりする。なんで大都会の真ん中に落ちてこないのか、不思議でたまらない。

 しかし、そういう田舎に落ちてきた(らしい)おかげで、格好の観光スポットになっているのだ。嘘か真か、UFOオタク御用達ルートなるものがあって、わが主人公たちもイギリスからわざわざそのルートを旅するためにやってくる。

 イギリスからやって来た冴えない中年男二人組、イラストレーターのグレアムとSF作家クライブはクリンゴン語を話すほどのSFオタク。西海岸のサンディエゴで毎年行われるコミコンの会場にやってきて、大はしゃぎ。その後、キャンピングカーを借りて中西部を東に走る。エリア51という空軍基地の側を通り、UFO専用カフェ・モーテルに立ち寄る。これ、本当にあるらしいが、UFOマニアが集まる人気スポットだとか。ネバダ州の砂漠の中にポツンと建っているカフェだけれど、マニアには有名だという。

 で、このおとぼけ2人組は道中でエイリアンを拾うことになる。拾ったエイリアンは1947年に宇宙船が墜落して米軍につかまっていたのだが、脱走してきたという。本人は客扱いされていたつもりが、実は監禁されていたということに気づいて逃げ出したのだが、アメリカ暮らしが長いものだから、すっかりアメリカナイズされてしまって、イギリス人であるグレアムたちのほうがよっぽどエイリアン(異国人)なのである。ポールと名乗る宇宙人は、故郷に帰るので、手助けしてほしいと二人に頼み込み、その横柄で厚かましい態度で二人の車に居座る。

 だが、そのポールを追って謎の捜査官達が車で近づいて来ていた。追いつ追われつのデッドヒートの上に、さらにキリスト教原理主義者が経営するモーテルに立ち寄ったのをきっかけに、ルースという少々薹(とう)の立った娘を誘拐する羽目になり、彼らの道行きはいっそうややこしいことになる…。



 笑いとカーチェイスと宇宙人と恋愛と、ごった煮のむちゃくちゃな話。面白いのは、ポールが長らくアメリカにいる間に様々な影響力をアメリカ文化に及ぼしていた、という「事実」。これ、割と衝撃的(笑劇的)なのでお楽しみ。

 全編、SF映画へのオマージュ満載なので、いくつ気づくかも楽しみの一つ。宇宙人が(見た目以外は)全然宇宙人らしくないというカルチャーショックや、SFオタク自虐ネタぶり、キリスト教原理主義への冷笑、最後にあっと驚く登場を果たす某俳優やら、笑いどころも満載。頭使わないで楽しめる映画なので、お奨め。こういう、異文化遭遇ものは面白いジャンル。イギリスから見たアメリカ人はエイリアンよりも異質である、という皮肉が込められていると読んだが、これはうがちすぎか。

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PAUL
104分、アメリカ、2010
監督・脚本: グレッグ・モットーラ、製作: ニラ・パークほか、製作総指揮: ライザ・チェイシンほか、音楽: デヴィッド・アーノルド
出演: サイモン・ペッグニック・フロストジェイソン・ベイトマンクリステン・ウィグビル・ヘイダー ハガード、シガーニー・ウィーヴァー
声の出演: セス・ローゲン ポール