吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

アジョシ

 エル・ライブラリーが参加し、4人のライブラリアンがボランティアで手伝ってくれたチャリティバザー後の打ち上げはビアガーデンで。涼しくて気持ちよく、青空も見えたけれど、陽が落ちてくると今度は寒くて震えた。
 宴会が終わった後、「4デイズ」を見るか「ハンナ」を見るか「アジョシ」を見るかで迷ったが、上映時刻が合うのは「アジョシ」だったのでこれに決まり。で、これはひたすらウォンビンがカッコいい映画だった。


 韓国映画の暴力性にはうんざりする。そういう映画ばかりを選んで見ているつもりはないのに、殴り合い、血まみれ、痛い場面ばかりが続くと、映画に何を求めているのか、自分でもわからなくなってくる。

 「冬の小鳥」で天才ぶりに仰天させられたキム・セロンの出番がさほどなかったのは残念。その分、ウォンビンがこれでもかとばかりにものすごいアクションシーンをこなす。孤独で寡黙な質屋であるウォンビンが、たった一人心を交わした少女のために命を懸ける。少女ソミの隣に住む質屋のおじさん=アジョシは実は元特殊工作員だったのだ。その彼が麻薬密売・臓器売買のヤクザたちに一人で立ち向かうという任侠伝だが、やっぱりわたしはこういう話は苦手だった。おまけに最後の甘さにうんざり。韓国映画にはこういう情緒に流れる甘さがある。だからこそ大ヒットするのだろうが。去年だったか、この映画は並み居るハリウッド大作を押しのけて韓国で動員数一位を誇った映画だそうだ。

 ウォンビンがやたらスマートできびきびとしたアクションを見せてかっこいいのと、悪役のタイ人がぞっとするほどハンサムでこれまたクールにかっこよかったので合格点。

 確かに大ヒットする要素はある。アクション、ハンサムな役者たち、ねじが3本くらい飛んでいそうなクレイジーな悪役を演じた役者たちのうまさ。

 悪の兄弟の兄役キム・ヒウォンは「生き残るための3つの取引」の強欲社長を演じた役者かと思ったら別人だった。下卑た悪人の顔はみな同じに見えてしまう。

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THE MAN FROM NOWHERE
119分、韓国、2010
監督・脚本:イ・ジョンボム、音楽:シム・ヒョンジョン
出演:ウォンビン、キム・セロン、キム・ヒウォン、キム・ソンオ