吟遊旅人ピピのシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。感謝。

世界侵略:ロサンゼルス決戦

ここのところ余りにも忙しくて映画を見に行く時間がなかったので、久しぶりの映画館にほっとする。

 本作はいかにも金がかかっているハリウッド作品。今年は宇宙人に何度も侵略されるロサンゼルスであるが(「スカイライン--征服」)、「トランスフォーマー3」ではシカゴだった――、「スカイラン」がCGビジュアルに凝った作りであったのに対して、「世界侵略」はリアリティを追求した手持ちカメラによって宇宙戦争プライベート・ライアン風味に仕上がった。しかし、手持ちカメラ多用のせいで画面が揺れて頭が痛い。

 宇宙から地球に大船団を組んでやって来られる科学力を持っている割には宇宙人が弱すぎて笑える。世界侵略なんだから、ロサンゼルスだけ頑張ってもダメだろうに。などといろいろ突っ込みどころ満載で楽しい映画。何よりも我らが海兵隊の活躍に、アメリカ人はさぞや溜飲を下げているであろう国威発揚映画であるところが苦笑してしまう。ほんとにアメリカ人が好きそうなヒーローものなのである。ヒーローがアーロン・アッカートというところが地味でなかなかよい。いや、これは役者で観客を呼べないのでちと苦しいかも。

 海兵隊はそもそもが上陸作戦のために作られた軍隊であって、防戦のほうは弱いのではないか、と思うのは素人判断なのだろうか。空軍は制空権を失い、陸軍も戦車が全滅。こうなったら海兵隊が”No,Retreat!”(退却しないぞ!)の精神で突っ込むしかないのか。日本帝国陸軍の玉砕戦を見るようである。敵の陣地内に入って民間人を救出するというのが今回の彼らの決死の任務であるが、相手が宇宙人なのに、なんで「敵陣地内」という防衛線が地図の上に描けるのかとっても不思議だ。

 軍隊の群像劇としても先が読めてしまうのがつらい。これとこれは死ぬなぁと思っている通りの人物が死んでいくので予想通りでビンゴ!とちょっと嬉しくなるが、逆に「なんやつまらん」とも思ってしまう。銃撃戦の連続に途中で退屈してしまってちょっと寝たので、なんだかややこしい作戦を展開している部分を見損ねた。ドラマとしては薄っぺらいので、戦場の緊迫感に期待するほうがいい。

 本作は9.11後、姿無き敵との戦いに倦んだアメリカ人を鼓舞するために作られた映画なのだろうか? 現代戦での戦場の恐怖や勇気、といった戦闘の「実際」(どこまでリアルなのかは観客にはわからない)を追体験するには面白いといえる。「スカイライン」と見比べて、金のかかり方に感嘆するのもいいのだろう。

 音楽はハンス・ジマーかと思ったら違った。この手の映画の音楽は全部同じか(苦笑)。

 全体としては、宇宙人との戦いという壮大な画よりも市街戦の緊迫感を描いた感が強く、むしろイラクでの米軍の戦いを彷彿させるように作られている。

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BATTLE: LOS ANGELES
116分、アメリカ、2011
監督:ジョナサン・リーベスマン、製作:ニール・H・モリッツほか、製作総指揮:ジェフリー・チャーノフほか、脚本:クリストファー・バートリニー、音楽:ブライアン・タイラー
出演:アーロン・エッカートミシェル・ロドリゲス、ラモン・ロドリゲス、ブリジット・モイナハン