吟遊旅人ピピのシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。感謝。

RED レッド

f:id:ginyu:20140824102854j:plain 出てくるだけで笑いを誘えるジョン・マルコヴィッチ。出てくるだけで郷愁をそそるブルース・ウィリス。出てくるだけで跪(ひざまず)きたくなるヘレン・ミレン。出てくるだけで余裕綽々のモーガン・フリーマン。でてくるだけで怪しいブライアン・コックス。これだけのベテラン俳優を押し立てているのだから、もうそれだけで可笑しい、笑える。この半年、いや一年ぐらいで一番笑ったコメディアクション。

 

 これも図書館(というよりアーカイブズ)映画の一つ。CIA本部の奥深くに大量の極秘文書ファイルが残されている。本当にヤバイ文書なら破棄するだろうに、なぜかCIA本部の中にはきちんとアーカイブされていて、銀行の大金庫のような頑丈な扉に守られている。ところがこの文書庫の番人が老人一人。嘱託職員を配置しているのだろうな、ちゃんと専門のアーキビストを配置しないとだめですよ。
 こういう映画を見るといつも思うが、日本の特高警察は戦後、大量に資料を焼却してしまい、わずかに残された特高月報や尋問調書などの資料を持ち出した人間が秘匿したり古書店に売却して糊口を凌いだのに比べると、欧米の記録はきちんと残りやすい。この「アーカイブ思想」の彼我の違いはどこから来るのだろう。


 それはともかく、元CIAの凄腕暗殺者だったフランク・モーゼズ(ブルース・ウィリス)、今はRED(Retired Extremely Dangerous 超危険な引退者)と呼ばれる最も危険な年金生活者、彼がなぜか命を狙われ逃げ回るうちに昔の仲間をかき集めて反撃に出る、というお話。登場する退職者たちはいずれも凄腕のスパイばかり、いずれもアクの強さでは天下一品。ヘレン・ミレンがマシンガンを撃ち続ける姿なんて、思わず「女王陛下、もうその辺で…」といいたくなるような偏執ぶり。

 フランクがいい歳をして恋に落ちる女性が年金担当係員という地味このうえないサラ、このサラという素人部外者を連れまわして一緒に逃げることによって事態がややこしくなると同時にスパイたちの過去も徐々に明らかになるという仕掛け。

 ありえない銃撃戦にありえない荒野の決闘、ありえない殺戮の限りを尽くして悪者をやっつけるのである。めでたしめでたし。いやぁ〜、面白かった。(レンタルDVD)

RED
111分、アメリカ、2010
監督:ロベルト・シュヴェンケ、製作:ロレンツォ・ディボナヴェンチュラ、マーク・ヴァーラディアン、製作総指揮:グレゴリー・ノヴェック、脚本:ジョン・ホーバー、エリック・ホーバー、音楽:クリストフ・ベック
出演:ブルース・ウィリスモーガン・フリーマンジョン・マルコヴィッチヘレン・ミレンカール・アーバンメアリー=ルイーズ・パーカーブライアン・コックスリチャード・ドレイファス