吟遊旅人ピピのシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。感謝。

風と共に去りぬ

 午前十時の映画祭にて。

 おそらくこの映画を見るのは4回目。最後に見てから30年以上経っているので、細部はすっかり忘れた。4回目だというのに、今回が一番感動したように思う。ただし、スクリーンサイズが小さくて、なんのために劇場で見ているのかその醍醐味がなかったのは返す返すも悔しい。
 思えばわたしの映画人生は事実上この映画から始まっているので、記念すべき懐かしい作品である。13歳中学1年生のときに劇場で見て、それ以来、わたしの映画館通いが始まった。最初は友達と大勢で。次も友人たちと。いつの間にか一人で映画館で3本立てを見るようになり(戎橋劇場や大毎地下)、毎月毎月『ロードショー』を買い、気に入ったスターの写真を部屋に貼りまくり…。
 そういう意味では金字塔の映画であり、作品の質とか内容よりも、わたしの人生に与えた影響の大きさでエバーグリーンの名作なのである。
 以下、メモ。
 

  • 最後の台詞の字幕が昔は「明日は明日の風が吹く」だったが、今回見たのでは「明日考えよう」だった(かな?)。Tomorrow is another day
  • 黒人初のアカデミー賞受賞女優、マミー役の彼女は実際、とても上手いということがよくわかった。

大河ドラマなのだが流れが速く、全然退屈しない。

  • 何度も見ているというのに、前奏曲と終曲があったことを忘れていた。こんな、画面に何も映っていなくて音楽だけ聞かされるのに辛抱強く待っていたんだな、昔の観客は。この形式はオペラの名残だろうか。
  • ステレオタイプの黒人の描き方が随分批判されたようだが、あまり気にならない。
  • スカーレットは自信過剰の我儘女で気が強くて素直じゃない、嫌なヒロインの典型だが、今回見て、意外に彼女が優しい面を持っていることに気づいた。愛するアシュレーとの約束だからと嫌々ながらその妻メラニーの世話をするが、本当に嫌だと思っていたらあそこまでちゃんと世話をしたりできない。実際、命がけでメラニーを救っているのだから、スカーレットは責任感と愛情に溢れる人なのだ。
  • ストーリーの運びがうまい。筋書きは覚えているのだが、一つずつのエピソードをどう繋いでいたのかを忘れていたので、それを思い出しながら見るのがとても楽しかった。「そうかなるほど、ここであの台詞が出るのか」「あ、実はこの事件とあの事件の間にはあまり時間的経過がなかったんだ」とか、いちいち感心しながら見ていた。長尺を飽きさせない工夫が随所にあり、波乱万丈の物語はもっと長尺でもいいぐらいだ。
  • 製作の裏話がこれほど取りざたされる作品も珍しいだろう。その一つずつが面白い。ヴィヴィアン・リーが主役に決まったいきさつ、当時愛人だったローレンス・オリビエの力添えによるという話とか、監督が何人も交代したとか。
  • 南北戦争はアメリカ史上最悪の死傷者を出した戦争だ。第二次世界大戦より犠牲者が多いのだから、1939年当時、この戦争の悲惨がいまだに語り継がれていたであろうことは想像に難くない。原作に色濃いと思われる、南部人の誇りや南部式生活様式への憧憬、まさに「今は去ってしまったもの」への強い執着を改めて感じる。北部に悪罵を投げつける台詞が頻出する小説がなぜベストセラーだったのか、その秘密を知りたいものだ。
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GONE WITH THE WIND
231分、アメリカ、1939
監督:ヴィクター・フレミング、製作:デヴィッド・O・セルズニック原作:マーガレット・ミッチェル、脚本:シドニー・ハワード、撮影:アーネスト・ホーラー、レイ・レナハン、音楽:マックス・スタイナー
出演:ヴィヴィアン・リー、クラーク・ゲイブル、レスリー・ハワード、オリヴィア・デ・ハヴィランドハティ・マクダニエル