吟遊旅人ピピのシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。感謝。

アリス・クリードの失踪

 予告編でかかっていた「ムカデ人間」がすごすぎて爆笑。よくぞこんな映画を作ったもんだ、世の中の顰蹙を買いまくるであろう超弩級のお下劣作品だけれど、ちろっと見てみたい気持ちがムラムラするのはいけないことでせうか。http://mukade-ningen.com/index.html

 さて、アリスちゃんが誘拐される映画、登場人物は3人だけのシチュエーションドラマ。いきなり若い女性が誘拐されるシーンから始まり、彼女が何者でありなぜ誘拐されたのか、犯人の2人は何者なのか、徐々に明らかになってくる、というストーリー。アリス誘拐の舞台裏にはさほど大きな謎があるわけではないが、3人の人間関係が明らかになるにつれ、お互いの騙し合いが始まり、その心理サスペンスの行方に観客は手に汗握るわけだが…。 

 お金持ちのお嬢さんというアリスが全然そんなふうに見えないところが困った。育ちのいいお嬢さんというより、アバズレみたいで。もともとそういう設定だからいいのかもしれないが、きつい化粧の下品なアリスが好きになれない。むしろ、誘拐犯人の一人、若い男がなかなかイケメンで可愛くてよい。と思ったら、「SWEET SIXTEENhttp://www.eonet.ne.jp/~ginyu/040314.htmで主役を張った彼ではないか。すっかり大きくなってまあ。ついでにアリスを演じた女優が「プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂」http://d.hatena.ne.jp/ginyu/20100613/p1では全然美しくない「絶世の美女姫」だったことも判明。で、この同情したい気持ちが起きないアリスが、いつの間にか主導権を握るようになる、というところがこの物語の見せ場。



 巻頭、まったく台詞がなく、淡々とそして実に手際よく男二人が誘拐の準備を進めている。ここでこの二人が周到にこの犯罪を用意したことが示されるわけだが、二人の関係や誘拐されたアリスとの関係は初めのうち、謎に包まれている。そして、その関係が明らかになるにつれ、当初の手際の良さからは考えられないような小さなミスが続出し、やがて誘拐犯たちは疑心暗鬼の虜となってアリスを含めて互いに騙しあいを始める。登場人物が三人しかない、三人というのはうまい配合で、三人はすぐに2対1に組が分かれる、というのが常識。誘拐犯対アリスという組み合わせがやがてころころと変化を起こし、その都度彼らの駆け引きが観客の興味をそそる。

 

 という心理サスペンスの犯罪ものだが、後味がいい映画ではない。悪銭身につかず、というのが教訓のようであります。

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THE DISAPPEARANCE OF ALICE CREED
101分、イギリス、2009
監督・脚本: J・ブレイクソン、製作: エイドリアン・スタージェス、製作総指揮: スティーヴ・クリスチャン、音楽: マーク・キャナム
出演: ジェマ・アータートン、マーティン・コムストン、エディ・マーサン