吟遊旅人ピピのシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。感謝。

ゴッドファーザー Part2

 午前十時の映画祭にて。

 完璧な続編。であるからこそ、第1作を完全に記憶していないと、さっぱり人間関係が理解できない。巻頭暫くはコルレオーネ一家の兄弟関係や人間関係をすっかり忘れていたものだから、話がわかりづらくて難儀した。第2作を見る前に復習しておけばよかったと反省すると同時に、第1作を見てからそんなに長い時間が空いているわけでもないのに既にかなりの部分を忘れている自分に愕然とした。あれほど面白いと感動した作品なのに細部を忘れてしまっていることが悲しい。

 というような気分にのっけから襲われつつ鑑賞したために、第1作ほどはのめり込めなかったPart2ではあるが、2代目を継いだドン・マイケル・コルレオーネの悲哀をアル・パチーノが素晴らしい演技で演じきってくれたことには充分な感動を覚えた。

 家族を愛する余りに、家族の裏切りが許せない。そして、二代目のドンにとって商売が大きくなればなるほど、家族=ファミリーが拡大していき、自分が庇護せねばならない共同体が拡散していくがために、その紐帯を繋ぎとめることが困難になる。父が築いたファミリー帝国を守ろうと必死になって働いてきたのに、マイケルのやることなすことがその思いと裏腹の結果を生む。Part2は、その父ビトーが9歳のとき、生まれ故郷のシチリア島で家族全員を殺されるところから始まる。9歳のビトーがアメリカに渡ってきたとき、最初に目にしたアメリカの象徴は「自由の女神」だった。船から見上げる女神像は、同じく移民の物語だった「アンジェラの灰」http://www.eonet.ne.jp/~ginyu/011016.htmを思い出させる。単身海を渡ったビトーはNYのイタリア人街に住み、貧しいながらも妻と子どもの幸せな家庭を築く。ビトーは地元のマフィアのせいで職を失い、泥棒稼業に手を染めるようになるが、いつしか持ち前の才覚と面倒見のよさでのし上がっていく。

 Part2はファミリーを築いていく若き日の父の生き生きとした姿と、現在(1958年)のマイケルの苦悩とを交互に描き、その台頭と凋落の日々を対比してみせる。父があれほど愛した家族を、マイケルは失っていく。商売の地をNYからラスベガスへと移し、ホテル経営に手腕を振るいながらも、結局は暴力集団であるマフィアの裏社会と手を切ることができないマイケル。冷酷な2代目は、その怜悧さゆえに身内を失って孤独の淵に佇む。血で血を洗うマフィアのやり方では、結局家族の絆を繋ぎとめることができなかったのだ。
 前作にも増して暗い室内の撮影が増え、創業家2代目の事業承継に暗い影が差していることを暗示する。

 長い作品なので、細部にいろいろ印象深い場面があるのだが、とりわけキューバ革命のその現場にマイケルが居合わせる場面に大いに興味をそそられた。1959年の新年を祝うカウントダウン・パーティに出席しているマイケルは、バチスタ政権への賄賂を用意していたが、なかなかそれを大統領に手渡そうとしない。街の様子を眺めたマイケルは、バチスタ政権が危ういことを悟っていたのだ。いよいよ新年を迎えるそのどんちゃん騒ぎの最中に革命軍はハバナに入城する。ロバート・レッドフォードの「ハバナhttp://d.hatena.ne.jp/ginyu/20090205を思いださせるようなキューバ最後の退廃が描かれている。新年の挨拶をするはずだったバチスタは大統領辞任の挨拶をしてそのままキューバを脱出するのである。そのドサクサの渦中にいるマイケルと彼の商売相手のユダヤ富豪との丁々発止の騙しあいが面白い。


 第1作に続いて長尺なので途中、インターミッションが入る。イタリア移民家族の絆が結局は流血で結びつけられ、流血によって崩壊する様子がいかにも大河ドラマ的に展開する、堂々たる第2作だ。欲を言えば、若かりし日の父ビトーの姿をもっと描いて欲しかった。でないと、どうやってコルレオーネ一家を成したのかがよくわからない。ビトーが街のチンピラの域を脱しようとするところで彼の話が終わってしまうのは残念だ。それにしても若きロバート・デ・ニーロは精悍でたいそう魅力的だった。

                                                                  • -

THE GODFATHER: PART II
200分、アメリカ,1974

製作・監督・脚本:フランシス・フォード・コッポラ、原作・脚本:マリオ・プーゾ、撮影:ゴードン・ウィリス
音楽:カーマイン・コッポラ、ニーノ・ロータ
出演:アル・パチーノロバート・デュヴァルダイアン・キートンロバート・デ・ニーロ、ジョン・カザール、タリア・シャイア