吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

ジュリエットからの手紙

 タイトルを「ジュリエットへの手紙」と記憶違いしていた(~_~;)。原題だとそれで合ってるんだけどね。

 予想通りにゆるい映画。緩いなりに最後までそれなりに楽しめる。これもイタリア観光映画の一つであり。

 イタリアはベローナ、ここは「ロミオとジュリエット」の舞台となった地で、ジュリエットの生家なるものがあり、世界中の女性たちが恋の悩みをジュリエット宛に書いて手紙を石垣に挟み込んでいく。その手紙にジュリエットの秘書たちが返事を書くというボランティア活動があるそうな。ほんまかいなと思ったけど、ほんまらしい。して、そのジュリエット宛に書かれた手紙がなぜか50年間発見されずに偶然見つかったのだが、そこに書かれた恋の悩みの書き手は今…。というお話。しかし、その50年前の恋人のくだりをすっかり爆睡していて見ていないからどこがどうなったのかよくわからない。

 でまあ、50年前の手紙の主というのがイギリスに住むクレアという女性で、ヴァネッサ・レッドグレーブが演じていて、矍鑠たるお婆さんなのである。随分歳を取ったヴァネッサだけれど、相変わらず端正で知的な美人だ。50年前の恋人と別れたまま、心を残してイタリアを離れたわけだが、ジュリエットからの手紙を読んで孫を連れてベローナまでやってきたクレア。さて、クレアの初恋の人捜しの旅の結末はいかに?!

 主役のソフィを演じたアマンダ・セイフライドがラブコメの主役としてはいささかどうよ、という感じが否めないのがマイナス点(ファンには悪いけど)。ソフィはアメリカ人なのだが、婚約者とのイタリア旅行の途中でジュリエットの秘書役のボランティア活動をやっている、という設定。こういう無理やり設定がそもそもいかにも作り話くさいから、最後までこの調子ですべてが「お話」っぽい。とはいえ、ワインの産地を巡るソフィとクレアの旅が楽しそうで、田園風景が美しくて、すっかりイタリア旅行の気分になれるところが実によろしい。

 今回のヒットはフランコ・ネロ。久しぶりに見たが、彼はうまく歳をとっていて、ナイスな老人になっっていたのには感激。ソフィの恋人役をガエルくんが演じているが、この恋人のキャラが悪いので、ガエルくんの印象も薄い。ヴァネッサ・レッドグレーヴフランコ・ネロ老人力が光る映画。

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LETTERS TO JULIET
105分、アメリカ、2010
監督: ゲイリー・ウィニック、製作: キャロライン・カプランほか、脚本: ホセ・リベーラ、ティム・サリヴァン、音楽: アンドレア・グエラ
出演: アマンダ・セイフライドクリストファー・イーガンガエル・ガルシア・ベルナルフランコ・ネロヴァネッサ・レッドグレーヴ