吟遊旅人ピピのシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。感謝。

読書メモ

  • 客地 : ほか五篇 / 黄皙暎著 ; 高崎宗司
    訳. 岩波書店, 1986
     →「客地」は典型的なプロレタリア文学で、労働者たちの様子が事細かく描かれている。こういうのは好みによるのだろうけれど、わたしは面白くない。人物の性格づけなどもちっとも頭に入ってこない。途中でいやになった。ほかの短編のうち、超わがままで意地悪な美人学生の話が面白かった。ファン・ソギョンってこの手の女にひどい目にあった恨みでもあるのかも。

  • 新左翼とロスジェネ / 鈴木英生著. 集英社, 2009. (集英社新書 ; 0488C) →新左翼運動の歴史を概観。知らないことは書かれていないというのに血湧き肉躍る。京大の寮闘争などが登場するあたりがさすが京大出身の若手記者。こんなにちゃんといろいろ文献を調べるなら、わたしの資料を見せてあげたいと思う。彼の認識は、全共闘も今のロスジェネ世代も、「自分探し」を共同体(新左翼の場合は活動家集団/党派という共同体。今のロスジェネはネット、新興宗教、自己啓発)の中でやろうとしているという点で共通項がある、ということ。「貧困」+「自分探し」→「連帯」という図式だ。これじたいは特段目新しい認識ではない。今の若い貧困層には「溜め」がないという(湯浅誠の言)。「溜め」とは、頼れる人間関係のことであり、自分に自信がある自分を大切にできる精神的なものをいう。
  • 労働法はぼくらの味方! / 笹山尚人著. 岩波書店, 2009. (岩波ジュニア新書 ; 615) →中高生向けに作られている岩波ジュニアシリーズは、実は大人にもお役立ちの入門書だ。この本に関しては、芝居仕立てでわかりやすく解説するというのは確かに読みやすいかもしれな

いが、大人にとってはかったるい。

  • サガン : 疾走する生 / マリー=ドミニク・ルリエーヴル著 ; 永田千奈訳.阪急コミュニケーションズ, 2009. (Figaro books) →「朝日新聞」の書評では高い評価だったが、最後は退屈してしまった。なにしろ同じフレーズが何度も何度も登場するのだから。サガンは頭の回転が速かった、速すぎてまわりの人間と話が合わなかった。輝くような知性。誰にでも愛される魅力的な女性。いくつになっても少年のような。子どものまま大人になった… 交友関係の広さはさすがだ。彼女がバイセクシャルであったことは半ば公然の秘密だったとは知らなかった。晩年のサルトルとは随分親しかったようだ。