吟遊旅人ピピのシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。感謝。

スタンド・バイ・ミー

午前10時の映画祭、何度みてもすごい50本 http://asa10.eiga.com/theater/16.html で上映中の作品。
 去年、DVDで鑑賞して激しく感動したので、映画館でもどうしても見たい作品だった。で、仕事がすんだ後の宴会帰りに劇場へ。午前十時の映画祭といいながら、ほかの時間帯にも上映してくれるのがありがたい。若者二人の間に挟まれた席でおばさんが一人で見ているというのも変な図かもしれないが…。



 これほど瑞々しく少年の日を描いた映画があっただろうか? 子役達の驚くべき名演とともに永遠に心に残る名作だ。「こんな有名な映画を今まで見てなかったん?」と息子に笑われたが、そう、実は未見だったのだ。どうせしょうもない、少年の夏の日の出来事を描いたものだろうと半ばバカにしていた。それは「アウトサイダー」に対する低評価と関係しているかもしれない。しかしこれは違う。12歳という、大人の入り口にさしかかったばかりの少年たちが、子ども時代にできることのすべてをここに情熱を燃やし見せてくれる。 


 4人の個性が際だっていて、演じている子役たちがいずれも素晴らしい。実年齢を見ればもはや子役とは言えないかもしれない16歳のリバー・フェニックスの存在感も光っている。これは、奇跡のような映画だ。旬の子役たちが、今しかないという輝きをみせる。この映画の製作が1年後だったらこのような作品になったろうか?

 1959年、12歳の少年たち4人の一夏の冒険。人口1200人ほどの小さな田舎町に住んでいた少年時代を、いまは大人となり作家になった主人公が振り返る。
 草むらに放置されているという少年の轢死体を発見するために、12歳の少年たちは36キロの道のりを線路伝いに歩く。映画は、彼らのちょっとした冒険旅行の途中のああでもないこうでもないという愚にも付かないおしゃべりを丹念に拾う。しかし、この愚にも付かないおしゃべりの中に人生の真実がある。思春期の輝きのすべてがある。


 おそらくこの映画は男の子たちの紅涙を絞るのだろうけれど(て、この用法は間違い?)、かつて女の子だったわたしにも痛いほどとわかる機微だ。そもそもわたしは自分を女だと思っていなかったし(^_^;)。

 年上の不良にからまれたり、優秀な兄を亡くして悲嘆に暮れる両親から疎遠にされるつらさを抱えていたり、心を病んだ父に虐待を受けていたり、4人の少年たちはそれぞれに心の傷を背負い、それと対峙する。かれらが大人への階梯を上ろうと必死になる姿はけなげで美しい。そして、痛々しい。


 大きなスクリーンで見た少年たちは実に魅力的だ。リバー・フェニックスなど、ほんとうに上手くて、なぜ若くして死んだのか、と残念でならない。しかし! しかし! なんと、宴会の後の映画。がぁぁぁぁぁぁん。またしても途中で寝てしまいました。もったいない(T_T)。でも、ほんとにいい映画だと思います。何度でもみたい。こうなると、「アウトサイダー」への低評価も反省して見直してみようという気になりました。
 音楽はもちろん文句なく素晴らしい。ラストにかぶる主題歌、あの場面で突然大泣きする人も多いのでは。

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STAND BY ME
89分、アメリカ、1986
監督: ロブ・ライナー、製作: アンドリュー・シェインマン、原作: スティーヴン・キング、脚本: レイノルド・ギデオン、ブルース・A・エヴァンス、撮影: トーマス・デル・ルース、音楽: ジャック・ニッチェ
出演: ウィル・ウィートン、リヴァー・フェニックスコリー・フェルドマンジェリー・オコンネルキーファー・サザーランドジョン・キューザック