吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

セブンデイズ

 これはなかなか面白いサスペンス。


 抜群の勝率を誇る有能な弁護士は、8歳の娘を育てるシングル・マザー。ある日、娘を人質にとられるが、犯人の要求はなんと、殺人犯の無罪を勝ち取れというもの。目前に迫った公判に、時間は限られている。そのうえ人質にとられた娘にはアレルギーがあって、薬が必要だ。タイムリミットを設定されているサスペンスには緊張感がみなぎっている。スピーディな演出が好感度高く、犯人の不可解な要求の裏にある事実が次々と明らかになるに従い、事件はいよいよ謎が深まる。

 

 運動会の最中に娘を誘拐するとか、有罪としか思えない被告を無理矢理無罪にするよう要求するとか、誘拐犯の異様な犯行と要求には首をひねるが、「それがねらいであったのか」と途中で気がついたわたし。ミステリー好きならラストは読めると思うけれど、読めてもやっぱり面白く見ることができた。前半のストーリーのテンポの良さはなかなかだったが、後半の追跡シーンやカーアクションはややだれているのでもっと短く刈り上げるべき。110分以内に収まるお話だ。


 ミステリーやアクションで華々しく飾っているけれど、テーマは母の愛、復讐、許し、といった重いものなので、ほんとうはそちらをじっくり描いてほしいものだ。ハリウッドでリメイクされるという。ますます重いテーマが吹き飛ばされそうな予感が。(レンタルDVD)

SEVEN DAYS
125分、韓国、2007
監督: ウォン・シニョン、脚本: ユン・ジェグ、音楽: キム・ジュンソン
出演: キム・ユンジン、キム・ミスク、パク・ヒスン、チャン・ハンソン、チェ・ミョンス、チョン・ドンファン