吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

セックス・アンド・ザ・シティ2

 専門図書館協議会の総会の後、東京は新宿ピカデリーで鑑賞。今回は総会でエル・ライブラリーを表彰してもらったのでうれしい。存在しているだけで表彰されるなんて、稀有な図書館だ。
(2010.6.29追記:この表彰についてはエル・ライブラリーのブログに掲載http://d.hatena.ne.jp/l-library/20100628/1277689407
 交流会がお開きとなったあと、おばさん二人で夜中の歌舞伎町を歩いた。思ったよりもずっと通りは明るくて通行人も多い。大阪のナンバあたりよりよほど安全とみた。


 さて、主役のサラ・ジェシカ・パーカーが嫌いなのでつらいところだが、この映画は主役のキャリーではなく、エロ年増女サマンサでもっているのだ。サマンサが「わたしは52歳よ! それがどうした! セックスするのよ!」と開き直るのが天晴れで、あまりにもあけすけな性欲の発散ぶりに快哉を叫びたくなる。


 次々に着替えて登場する4人の女性たちのゴージャスぶりは日常からかけ離れているので、完全に「物語」として消費することができ、安心してみていられる。いまどきこんなバブリーなお話が若い女の子たちに受けるのかなぁ。アラブの大金持ちが無料招待してくれて、中東アブダビの高級ホテルのスイートに女4人で泊まるというお話。一人ずつに専任のイケメン執事が付いて、一人に一台リムジンがお迎えに来て、砂漠でらくだに乗ったり、アラビアンナイトのカラオケで歌って踊ったり。などという、夢のような――というより、あほらしくなるような非現実的な展開。


 テレビのシリーズを見ていないと、キャリーが元カレにアブダビで再会してよろめくなんていうシーンの面白さは半減以下。長いシリーズものだけに、過去のエピソードがありすぎて、ファンだけが楽しめるようなお話ではなかろうか。とはいえ、ファッションショーのようなめくるめく衣装はそれなりに楽しめたし、ゲスト出演のライザ・ミネリが歌と踊りを見せてくれたのもよかった。どうせ話の内容なんてなきに等しいのだから、そんなところには一切期待していなかったのも正解。


 とはいえ、いかにストーリーに期待していないといっても、飛んでる女たちのお話のわりには結婚について保守的な考えに着地点を持ってきているところがあまり面白くない。また、映画第1作のようなキャラの立った面白い会話も少ない。全般にトーンダウンの感は否めない。一人がんばって笑わせてくれるのがサマンサだけというのは、ちと寂しい。

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SEX AND THE CITY 2
147分、アメリカ、2010
製作・監督・脚本: マイケル・パトリック・キング、製作:サラ・ジェシカ・パーカーほか、原作: キャンディス・ブシュネル、音楽: アーロン・ジグマ
出演: サラ・ジェシカ・パーカーキム・キャトラル、クリスティン・デイヴィス、シンシア・ニクソン、ジョン・コーベット、
クリス・ノース、ライザ・ミネリ、マイリー・サイラス、ペネロペ・クルス