吟遊旅人ピピのシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。感謝。

エグザイル/絆

 公開中の「冷たい雨に撃て、約束の銃弾を」の予習のために。



 いきなり銃撃戦が始まるのだが、いったい何のために撃ち合いをやっているのか全然わからない。筋が見えないものだから、誰と誰が仲間なのかもわからず、映画の文法をつかむまでに時間のかかる映画だ。一緒に見ていたY太郎(大学1年)があれこれとカット割りの解説をしてくれるのがありがた迷惑というかうるさいというか。なんだかんだと言いながら10分ぐらいで「面白くない」と言ってYが退席。やれやれこれで静かに見られるわ。「最初の15分で客をつかまれへん映画はあかんねん」と怒っていた。が、翌々日になって「あの映画、最後まで見たら面白かった?」としつこく訊くので、「面白かったよ」と応えると「やっぱり見よう。この前は眠たかったから」とか言い訳をしていた。


 閑話休題。

 物語の舞台は、返還間近のマカオ。マフィアの子分たちは、裏切り者の仲間を殺すように親分から命令されていた。しかし、刺客として放たれた2人と、さらにそこにやってきた二人組、合計5人の男達は少年時代から一緒に育った仲間どうしだったのだ。彼らは撃ち合いをやめて、一緒に逃げることにするが…。



 というようなお話だけれど、これを理解するまでにかなり時間がかかった。やっと途中でなんとか人間関係を把握できてからは、話が面白いように転がるので、目が離せない。ひたすらかっこよさだけを追求してるから、見た目だけが大事な映画。逃亡しながらの銃撃戦には邪魔だろう!と言いたいが、彼らは決して鞄を手放さない。トレンチコートの裾を翻し(暑いだろうにねぇ)、鞄を持ったまま、片手で鮮やかに銃を撃つ。弾が続かないだろうに、なんであんなに何十連発も撃てるのか? などと疑問を差し挟んではならぬ。

 男同士の友情は命よりも大切なのだ。これぞ男の美学。女を守り、子どもを守り、男どうしの絆は断ち切らない。なんとかっこいい男の世界! というわけで、女は添え物です、フェミニストがなんと言おうとこれは男らしさのためにある映画なんだ、文句あっか! という映画。いやぁ〜、実に面白かった。(レンタルDVD)

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EXILED
放・逐
109分、香港、2006
製作・監督: ジョニー・トー、脚本: セット・カムイェン、イップ・ティンシン、音楽: ガイ・ゼラファ、デイヴ・クロッツ
出演: アンソニー・ウォン、フランシス・ン、ニック・チョン、ラム・シュー、ロイ・チョン、ジョシー・ホー