ラブコメの女王の素質あり、エイミー・アダムス。
DVDが出たようなのだが、この映画は昨年末封切られたもので、もうDVDになるとは、映画のライフサイクルも短いもんです。わたしが見たのは正月のレディースデーだったので、ほぼ満席。劇場が小さいせいもあったかもしれないが、女性映画は女性に人気ですね、やっぱり。
さて、この映画については、アメリカでは超有名人らしいジュリア・チャイルドのことを知っているかどうかで随分面白さが変わりそうだ。中年になってから料理の世界に目覚めて、アメリカ人主婦の料理を革命的に変えたと言われる女性だけれど、何しろまったく初対面の女性でありますから、その甲高くて酔っぱらっているような妙なしゃべり方ややたら陽気な<天然もの>の性格も、初めて知ることなので、可笑しさに欠けるのがつらい。とはいえ、彼女が魅力的な女性であることはじゅうぶんよくわかる。
物語は、50年前のジュリア・チャイルドと、現在(といっても2002年)のジュリー・パウエルという二人の女性をまったく交わることなく並行して描いていく。現在のジュリーはもうすぐ30歳になるチャーミングな人妻。ある時思い立ってジュリア・チャイルドの701頁もある料理本のレシピにすべてチャレンジすることを思いつく。500以上あるそのレシピを1年間で制覇する。その様子を毎日ブログに綴る。その二つを決意したジュリーは、いつしか自分のブログが人気者になっていることを知って大喜びするが…
ノーラ・エフマン監督にはコメディ演出の才能がある。なるほど、「恋人たちの予感」の脚本家であったか。
珍しくメリル・ストリープが脱力系の演技を実に楽しそうにやっているので、見ているほうも気持ちがいい。人のいいジュリアといい、その上手をゆく人の良さを見せる夫といい、できすぎている話だけれど、夢を見ることができる<ちょっといいお話>。実話を元にしているだけに、健在のモデルへの遠慮があるのかパンチが足りないけれど、まあまあではないでしょうか。
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JULIE & JULIA
123分、アメリカ、2009
監督・脚本: ノーラ・エフロン、製作: ローレンス・マークほか、原作: ジュリー・パウエル、ジュリア・チャイルド、音楽: アレクサンドル・デスプラ
出演: メリル・ストリープ、エイミー・アダムス、スタンリー・トゥッチ、クリス・メッシーナ