吟遊旅人ピピのシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。感謝。

レボリューション6

 軽快爽快、「あれから11年後のアナーキストたち」。


 1987年、まだドイツが東西に分かれていた頃、アナーキストの若者たちは帝国主義と闘うため爆弾をしかけたが、不発のまま15年が過ぎた。かつての活動家達も今はそれぞれの道を歩んでいる。だが、突然その不発弾が爆発したたために、彼らの過去の行状が明らかになる危険性が出てきた。仲間6人は急遽集まって善後策を協議し、警察に乗り込んで証拠品のフィルムを取り返すという大胆な方法をとることにした……


 さすがはミュージックビデオの監督グレゴー・シュニッツラー、スピード感溢れるおしゃれで斬新な映像をたたみかけてくる。アナーキーな若者達のポップな「闘い」ぶりには笑ってしまう。かつての若者たちも今や中年になり、一人は広告界で成功を収めて金持ちになっているではないか。「おお、こいつは資本主義の手先に成り下がったんやな」と嬉しそうに言うのは我が家のY太郎(大学1年)。Yのような若者にとっては、かつて自分たちと同世代の若者達が異議申し立てを行って権力と「楽しそうに」対峙していることが羨ましいのか? それとも、「こいつらバカやな」と思っているのか…。そうそう、Yが「あ、このシーンは『トレインスポッティング』のパクリやな」とか言っていた(どの場面だったっけ?)。


 この映画の主人公達6人のうち、ティムとホッテという男二人は時計を止めたまま生きている。ほかの4人は実業界で成功したりシングルマザーになったり大学教員になったりキャリアウーマンになったりと、それぞれ、「過激派としての過去」がなかったかのような生活をしている。かつて彼らを追っていた公安刑事も年老いた。こういう公安デカにとって、すわ過激派復活か、という場面がどれほど嬉々としていることか! この刑事のキャラがまた楽しくて深い味わいがあった。


 かつての青春の爆発への限りないオマージュとノスタルジーに溢れた映画であるが、それは取り戻せない過去であるからこそ輝いている。15年後に過去の落とし前を付けさせられる「同窓会」は、かつてのアナーキーな西ベルリンを徘徊していた若者たちの集まりではなく、統一ドイツの立派な首都に生活する大人たちの自己保身の場である。時計を止めたまま、今でも権力と対峙しているティムとホッテが悲しい。しかしこの「同窓会」によって、二人もようやく過去と決別することができるのだ。


 親子共々楽しませてもらいました、なかなかよくできた犯罪コメディ。(レンタルDVD)

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WAS TUN, WENN'S BRENNT?
101分、ドイツ/アメリカ、2002
監督: グレゴール・シュニッツラー、製作: ヤコブ・クラウセン、トーマス・ヴュブケ、脚本: ステファン・デーンネルト、アンネ・ヴィルドゥ、音楽: ステファン・ツァッハリアス
出演: ティル・シュヴァイガー、マーティン・ファイフェル、ゼバスティアン・ブロンベルク、ナディヤ・ウール、マティアス・マシュケ、ドリス・シュレッツマイヤー、クラウス・レーヴィッチェ