吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

明日に向って撃て!

 午前十時の映画祭、第4週目。またまた長男Yと一緒。
 

 さて、「スティング」と同じ組み合わせの映画で、スティングに先立つこと4年。なのにロバート・レッドフォードは「スティング」より老けて見える(ま、そういう年齢設定なので)。いずれにしてもレッドフォードもポール・ニューマンもすこぶる付きのかっこよさ。惚れます惚れます。 実在の列車強盗をモデルにしながらもかなり大胆な脚色があると見えて、映画史に残る名シーン<ポール・ニューマンキャサリン・ロスの自転車二人乗り>とか、心に深く刻まれる場面がいくつもある。


 雄大な西部の風景はスクリーンでみてこその感動がある。その美しさは「アラビアのロレンス」を思い出すほど。時代はもはや西部劇のときではなく、新しい<馬>=自転車が登場する。そんなときに、相変わらず銀行強盗や列車強盗を続けているブッチとサンダンスは時代遅れの男たち。もはや彼らには生きる術など残っていないのだ。滅びへと走る者達の悲壮感を背中に負いながらも、彼らは明るく脳天気に生きている。教師でありながら強盗団と行動を共にするキャサリン・ロスも不思議な存在で、男二人の間に美女一人という危うい関係も映画に独特の緊張感を生んでいる。


 悲愴な逃避行なのに、随所に光るユーモアがその切なさを緩和して、憎めない悪党たちに明日を信じさせてやってほしいと本気で思ってしまう。史上名高いストップモーションのラストシーンは、絶望を裏返して彼らの逃避行が永遠であるかのような錯覚をおこさせる。


 ああそれにしても、やっぱりレッドフォードがブラピに見えてしまうわ! 「スティング」のような爽快さがない分、わたしの評価はやや低いが、これまた必見の娯楽作。

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BUTCH CASSIDY AND THE SUNDANCE KID
112分、アメリカ、1969年
監督: ジョージ・ロイ・ヒル、製作: ジョン・フォアマン、脚本: ウィリアム・ゴールドマン、音楽: バート・バカラック
出演: ポール・ニューマンロバート・レッドフォードキャサリン・ロス、ストローザー・マーティン