吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

マドモワゼル

 いかにもおフランスですね、この憎たらしいほど淡々としたラブストーリー。巻頭の薬局の場面と、即興劇団の最初の劇は面白かったけど、あとは特にどうということもなくさほど印象には残らない。ただ、ラストに漂う感傷的な雰囲気は好きだなぁ。 

 偶然が重なって24時間を一緒に過ごすことになった家庭持ちの男女が、一夜の情事を交わして去っていく、それだけの映画。それだけのことが淡々と描かれるのだが、フランス映画らしいところは小道具に凝っていたり、会話がしゃれていたり、挿入される小話の含蓄が深かったり、という、サイドメニューの面白さにある。ストーリーは淡々というよりむしろ退屈。それなのに最後まで惹かれて見てしまうのは、85分という短さのテンポのよさかもしれないし、主人公たちの雰囲気の良さかもしれない。

 こういう恋愛映画を作られてしまうのが、フランス映画のにくいところ。どうと
いうこともない恋愛映画だけれど、妙に心に残る。(レンタルDVD)

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マドモワゼル
MADEMOISELLE
フランス、2001年、上映時間 85分
監督・脚本: フィリップ・リオレ、製作: パトリック・ゴドー、音楽: フィリップ・サルド
出演: サンドリーヌ・ボネール、ジャック・ガンブラン、イザベル・カンディエ、
ジヌディーヌ・スアレム、ジャック・ブーデ