吟遊旅人ピピのシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。感謝。

ジョン・リードの伝記2冊

 映画「レッズ」を見たあとでこの2冊を。

■ジョン・リードの伝記(1)

時代の狙撃手 : ジョン・リード伝 / タマーラ・ハーヴィ著 ; 飛田勘弐訳.
至誠堂, 1985. -- (至誠堂新書 ; 14)

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 巻末にリードの自伝エッセイ「もうすぐ30歳」を収録。このエッセイには彼の恋愛のことはほとんど何も書かれていない。もちろんまだ「世界をゆるがした10日間」を書く前のエッセイである。

 この伝記には、リードがソビエトをどのように評価していたかが描かれていない。映画「レッズ」にあったような失望は書かれていないのだが、訳者の解説がそのあたりを補っている。

 ジョン・リードは多くの浮名を流したプレイボーイだったようだが、とりわけ8歳年上の富豪の女性との恋が大きなものだった。その女性と別れた後にルイーズ・ブライアントと出会っている。

■ジョン・リードの伝記(2)

ルポルタージュは世界を動かす:ジョン・リードから現代へ
 松浦総三・柴野徹夫・村山淳彦・内野信幸著. 大月書店. 1990


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 本書は二部構成になっていて、前半がジョン・リードの伝記、後半がルポルタージュの歴史についての解説。『時代の狙撃手』のほうがリードの伝記としては詳しいのだけれど、こちらは日本の読者向けにたいへんわかりやすい解説がついているので、両書併読がお奨め。本書は時にたいへん臨場感溢れる描写があって伝記としてもなかなか読ませるものがある。それに映画「レッズ」のヒットの後を受けた企画だけあって、映画の内容を踏まえて書いてあるのも興味をそそるし、『時代の狙撃手』がルイーズとの恋と同じかむしろ長いぐらいに年上の人妻との恋を描いたけれど、本書はルイーズとの恋に焦点を絞っているのがいっそう興味をそそる。



 映画「レッズ」の解説もあり、史実と違う点について書いてあったのだが、なるほどウォーレン・ビーティがドラマチックにするために史実を変えたのだというのがよくわかった。それはルイーズが雪原を犬ぞりを駆って苦労してジャックに逢いに行く場面。実際にはルイーズがロシアに向かったのは夏なので、大雪原を渡る苦労はなかったはずだという。ビーティがフィクションに変えてしまって「ドクトル・ジバゴばりのシーンに捏造したという批判があるとか。

 あとは、ジャックとルイーズのロシアでの再会の場面は駅ではなく、ルイーズのホテルの部屋にジャックが歓声を上げて飛び込んできたというのが本当らしい。

 そうと知ると、映画的には絶対ビーティが変えた場面のほうがドラマチックでいいわ〜

 それにしてもこの著者たちの口ぶりがいかにもオールド左翼だ。