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吟遊旅人ピピのシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。感謝。

BOX 袴田事件 命とは

冤罪事件を告発する、大変生真面目に作られた映画。とうとう3月27日に再審請求が通った。これを機に、3年前にDVDで見た本作を紹介する。 死刑囚袴田巌さんは48年間の拘禁生活を解かれたが、すでに精神に失調をきたしているという。1968年にこの事件の一審…

サラの鍵

「黄色い星の子供たち」と同じ題材なのに、深さがまるで違う。「サラの鍵」にはベンヤミンの歴史哲学が横たわっている。「黄色い星の子供たち」を見たときには感動したし、それなりの良品だとは思ったが、「サラの鍵」を見てしまうと、前者の平板な作りが目…

コレラの時代の愛

最後は感動した、長い長いお話。主人公の性格づけが矛盾しているのは、ガルシア=マルケスの筆の誤り? それともその矛盾を大らかにとりこんでこの大河物語を読みなさい、という作家の意図か。 何度も何度も時間軸を行きつ戻りつしながらも着実に未来に向か…

読書メモ

客地 : ほか五篇 / 黄皙暎著 ; 高崎宗司訳. 岩波書店, 1986 →「客地」は典型的なプロレタリア文学で、労働者たちの様子が事細かく描かれている。こういうのは好みによるのだろうけれど、わたしは面白くない。人物の性格づけなどもちっとも頭に入ってこない。…

以前のブログに掲載した読書日記

全部で212本。 おいおい、こちらのブログに引っ越しさせますが、それまでの暫定措置として、ここにリンクを置きます。 http://blog.goo.ne.jp/ginyucinema/c/6fbe2d708c02aa6da216fc5bde57e286

私の中のあなた

自己を徹底的に毀損させてまで「献身」しようとするとき、その献身の対象となった他者は、それをそうやすやすと受容することができるだろうか? という問題をテーマの一つとする作品。と同時に、さらに大きな「死の受容」について考えさせる映画。 白血病の…

『働きすぎに斃れて 過労死・過労自殺の語る労働史』

以下は、エル・ライブラリーのブログに書いたものをそのまま貼り付けました。−−−−−−−−−−−−−−−−−− 本書は春に頂戴したので正確には「新着図書」とは言えません。ご紹介が遅くなって申し訳ありません。 著書自らが「渾身の作」と言うように、過労死に斃れた労…

未来をつくる図書館 ニューヨークからの報告

これぞ理想の図書館。作家トニ・モリソンが絶賛するニューヨーク公共図書館は、篤志家の寄付によって建てられた。ニューヨーク市が運営費を出すことを条件に、カーネギーなどの実業家が莫大な金額を寄付したのだ。89の分館と4つの専門研究図書館を擁する、市…

さまよう刃

昨秋、映画館で鑑賞。内容が重く、考えさせられる映画だが、リアリズムに徹しているはずの物語が映画的演出を優先するあまりに細部の整合性がない、というのは残念。特に最後になるにしたがってどんどん「お話」っぽくなってしまう。なんでこういう演出にす…

『朗読者』再読

上記の映画鑑賞の後、何年ぶりかで読み直す。ああ、これほど切ない少年の恋だったとは。 21歳も年上の女ハンナを愛したミヒャエルは、彼女が突然怒り出したりイライラする理由がわからず、戸惑い赦しを乞う。ハンナが不機嫌なときはいつも自分が折れていつも…

懐かしの庭

映画評に続けて原作の紹介を。 上巻ではカルメでの二人の隠遁生活や、ヒロイン・ユンヒの父のこと、主人公ヒョヌの刑務所での生活などが細かく綴られる。映画よりも遙かに詳しく細かな描写には胸に迫るものがある。 刑務所の中では鳩や猫との「交流」が囚人…

「二十四時間の情事」をカルースはいかに分析したか

『トラウマ・歴史・物語』の第2章「文学と記憶の上演」はディラスの脚本によるアラン・レネ監督の映画「ヒロシマ私の恋人」(「二十四時間の情事」)についての分析だ。 ここからいくつか引用を。主演の岡田英次はフランス語をまったく理解しないという。彼…

二十四時間の情事(ヒロシマ・モナムール)

再チャレンジでやっとこさ全部見た。これ、要するに記憶について語っているのね。被害の記憶、過去の傷についての記憶。しかし、映画として成功しているとは思えないのだけれど…。 モノクロの画面が過去と現在とを往還し、現在の場面ではアップを多用して登…

ジョン・リードの伝記2冊

映画「レッズ」を見たあとでこの2冊を。■ジョン・リードの伝記(1)時代の狙撃手 : ジョン・リード伝 / タマーラ・ハーヴィ著 ; 飛田勘弐訳. 至誠堂, 1985. -- (至誠堂新書 ; 14) - 巻末にリードの自伝エッセイ「もうすぐ30歳」を収録。このエッセイには彼…

「フリーダ・カーロ」

「フリーダ・カーロ展」は見逃したが、映画「フリーダ」をDVDで鑑賞した後、猛烈に彼女のことを知りたくなった。 この本は日本人による初のフリーダの評伝だ。と同時に著者堀尾真紀子のメキシコ・パリ紀行文でもある。 フリーダ・カーロといえば、一本に繋が…

母から母へ

学生時代からの友人峯陽一くんが、おつれあいのコザ・アリーンさんと共訳書を出版された。彼らは1999年から2年間南アフリカ共和国へ家族連れで留学していた。彼らの出発前に歓送会を開き、帰国したときには歓迎会を京都で開いた。2年の間に子ども達はすっか…