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吟遊旅人ピピのシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。感謝。

映画

海は燃えている~イタリア最南端の小さな島~

イタリア最南端の小さな島、ランペドゥーサ島は人口5500。その島にアフリカからの難民がその10倍押し寄せる。このドキュメンタリーは、島の人々の生活と決して交わることのない難民の悲惨な境遇を静かに描き出す。 巻頭、中学生ぐらいの少年が一人で木登りや…

白鯨との闘い

メルヴィルの『白鯨』は読んだことがなかった。と思っていたのだが、映画を見ているうちに次々デジャヴに襲われる。ひょっとしてこれは、小学生の頃にジュニア新書とかジュニアなんたらシリーズで読んだのではないか。まあ、いずれにしても、ストーリーには…

ヒマラヤ ~地上8,000メートルの絆~

これも実話をもとにした山岳映画。 さすがは韓国映画だけあって、感情に訴える場面のうまさは特筆すべき。その一方、残念ながら山のシーンの迫力がいまいちだ。いや、この作品しか観たことのない人ならこれでも十分満足の出来だろうが、なにしろつい先日、ド…

たかが世界の終わり

主人公はまもなく若くして死ぬ。自分が死ぬことを家族に告げるために、12年ぶりに実家に戻った。しかし、その家族たちは言い争いをし、ささいなことで激高し互いを傷つける。美しい青年は自分がやがて死ぬということを家族に告げることができないまま、時…

スノーデン

「ニュースの真相」よりさらに現在進行形のお話。よくぞこのタイミングでドラマ化したものだと感心する。オリバー・ストーンはこの手の社会派作品を作らせたら実にうまい。スノーデン事件に関しては、既にドキュメンタリー映画がアカデミー賞を受賞したよう…

MERU/メルー

1月に見た映画。映画館に見に来ている観客は年寄りばかりだった。こういう映画を若者が見に来ないという点が問題。というか、残念。 ヒマラヤ山脈にあるメルー中央峰の「シャークスフィン」と呼ばれる断崖絶壁の頂上は、誰も登ることのできない危険な途。20…

フルートベール駅で

本日、研究会「職場の人権」の例会があり、久しぶりに参加した。報告は伊藤太一さん(大阪経済大学経済学部教員)「アメリカ労働運動の新潮流と“サンダース現象”」。伊藤先生は非常にお話が上手で、身振り手振りでサンダースの物まね演説をされたりして、と…

ニュースの真相

見ごたえのある社会派作品。「事件」からまだ10年数年しか経っていないこと、登場人物がほぼ実名であることなど、生々しさがあるため、映画ではかなりの省略が行われている。そのため、日本の観客には説明不足で不親切な展開であり、劇場公開が短い期間で終…

天使のいる図書館

町興し映画にありがちな安易で残念な作品かと思ったけれど、どうしてどうして、図書館員がちゃんと仕事をしているところが描かれる、よい作品だ。でも主人公は変な図書館員で、あんなのは採用試験の面接で落ちるでしょとか、あんな司書がいるわけないでしょ…

弁護人

ここ数年来見た韓国映画で最も素晴らしかった。後に大統領になったノ・ムヒョン(盧武鉉)の弁護士時代を描いた物語。どこまでが実話なのかよくわからないが、盧武鉉が最初から人権派弁護士ではなかったことは確かだろう。彼が劇的に変わっていく様子が迫真…

湯を沸かすほどの熱い愛

湯を沸かすほどの愛っていうのは、銭湯が舞台になっているから。主人公は宮沢りえが演じる銭湯の女将さん。夫が一年前に突然蒸発し、そのまま銭湯は休業状態にあって、しかも娘は高校で虐められていて、その上自分は突然医者に余命2か月を宣告される。もうこ…

偉大なるマルグリット

巻頭、美しいソプラノやメゾソプラノや二重唱の天使の歌声が聞こえてきてうっとりしていたら、突然マルグリットおばさんの超絶音痴な歌声が響いて目が覚める。 いやもう、これは天才的な音痴です。どうやってこんな風に音が外せるのか知りたいわ(笑)。 192…

シークレット・オブ・モンスター 

サルトルの短編小説にヒントを得たということだが、小難しい理屈などなくて、ひたすらうるさくて恐ろしい音楽が鳴り響き不安を掻き立てる作品。原題「指導者の少年時代」っていったって、その指導者がなんで独裁者になったのか、この映画を見ても皆目わから…

ブルーに生まれついて

わたしはJAZZが好きだけれど、まったく詳しくない。いつも聞き流している。それが気持ちがいいから。だから、曲名も演奏者の名前もよく知らない。当然のようにチェット・ベイカーのことは知らなかった。だから、事前情報なしで新鮮な気持ちで見られたこ…

手紙は憶えている

ナチスの戦犯を追及できるのももうわずかな時間しか残されていない、まさにそのタイミングで作られた映画。ホロコーストの被害者が、家族を殺したアウシュヴィッツ収容所の兵士に復讐するという物語は、数年後には成立しないだろう。だから、今しか作れない…

この世界の片隅に

「君の名は。」よりもいい、という大人が大勢いる作品なので遅ればせながら見に行ったところ、やはり劇場は混んでいた。 戦時下の広島と呉の日常生活を、19歳のすずという女性(というより少女)を通して描いた作品。現在の呉市には大和ミュージアムがあり、…

ザ・ギフト 

この作品、映画としては出来がいいと思う。しかし、点数をつけるのもいやになるぐらい陰鬱な作品だ。そして、怖い。この映画を観ている最中に、「なんでこの映画を観ようと思ったんだろう。もう帰りたい」と思うほど、怖かった。 あらすじはこうだ。若者から…

ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期

シリーズ第1作から15年が経っているけれど、映画の中では10年しか過ぎていないことになっている。しかし実際のところ、15年経ってるわけだから、マーク・ダーシー(コリン・ファース)の老け方が半端ない。でもスーツが似合って素敵。レニー・ゼルウィガーも…

淵に立つ

描かれているのは復讐なのか、贖罪なのか。 ある日突然、町工場の入り口に中年男が姿を現した。工場のオーナーの古い友人のようだ。礼儀正しい彼は刑務所を出所したばかり、ということは間もなく観客にも知らされる。町工場の住み込み行員になった男は、じわ…

イレブン・ミニッツ

午後5時の鐘が鳴り響く大都会、11分後にはある惨劇が起きるのだが、そこに至るまでの11分を群像劇で織り上げていく、斬新な作品。 だれが主人公なのかは最後にわかるのだが、次々といろんな人々が登場するため、いったい何がどうなっているのやらわかりにく…

でんげい

「でんげい」とは、伝統芸術部の略称。大阪にある在日コリアンのための民族学校「建国学校」に作られた、文化クラブの一つだ。学校法人白頭学院建国幼・小・中・高等学校は、1946年創立の民族学校で2016年には創立70周年を迎える。在日韓国・朝鮮人の子弟に…

エンド・オブ・ホワイトハウス

意外に面白かったので、高得点。 同じような”ダイハード・ホワイトハウス版”の映画がチャニング・テイタム主演で同時期に上映されていて、どっちも面白いから、やっぱりこの手のネタは何度繰り返しても面白いのだろう。むしろ、結末がわかっていて安心してみ…

The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛

2013年に見た映画だけれど、アウンサンスーチー氏来日を記念して感想をアップ。 この作品、リュック・ベッソンが監督するのだから(実はわたしはアン・リーが監督だと勘違いしていた)、あまり期待していなかったのだが、どうしてどうして、なかなか面白かっ…

キューポラのある街

これぞ労働映画。 埼玉県川口市の鋳物工場街を舞台にした、貧しくとも懸命に生きる人々の様子を活写した作品。 巻頭、鋳物工場での作業風景が写る。今はこんなふうに鋳物を作ることはないのではないか。どろどろに溶けた鉄を運ぶ様子には、労働災害が多発す…

殿、利息でござる

これが、新しいテレビで初めて見たブルーレイディスク。あまりにもくっきりと画面が鮮明なので、背景が書き割りのように見えてしまう。人物と合成しているように見えるのはなぜなのだろう。こうなると、昔のフィルム映像が懐かしい。あの、なんとなく曖昧で…

世界一キライなあなたに

ヒロインが超センスの悪い服を着ている上に体型がぽっちゃりしているという、田舎娘丸出しの恰好で登場し、さらには豊かすぎる表情で眉毛を自在に動かすのも気色悪く、「うわー、この映画は失敗だったか」と思っていたのだが、なかなかどうして、この彼女が…

あゝ野麦峠

日本の労働映画百選に選ばれた。 飛騨の農村から信州岡谷の製糸工場に出稼ぎに行く12、3歳の少女たち。酷寒の野麦峠を決死の覚悟で越えていくのだが、何もわざわざそんな厳しい季節に雪山を渡らなくてもよさそうなのに、と思ってしまうが、夏は農繁期だから…

X-MEN: アポカリプス

アクションシーンが単調なので飽きてしまって途中少し爆睡。 プロフェッサーが髪の毛ふさふさ状態から一気にスキンヘッドになってしまう原因や経過が見られたのがなによりも驚愕かつ感動的だった。 マイケル・ファスベンダー目当てで見に行った本作で決定的…

X-MEN: DAYS OF FUTURE PAST

前作の続編だが、えらく雰囲気が暗くなった。三部作の真ん中の宿命か、前作が持っていた新鮮な感動がなく、次回作に続く中途半端さが否めず、いまいちの印象を残した。監督がブライアン・シンガーというのも影響ありか。 たぶん、今作が過去と現在を往還する…

X-MEN:ファースト・ジェネレーション

エックスメンシリーズの冒頭に戻るお話で、いかにしてエックスメンという集団が生まれたのかを描くのが本作。 宿敵同士のプロフェッサーXとマグニートーが若いころは親友だったとか、彼らの生まれ育ちの違いが思想と理想の分裂を生むことが描かれて非常に興…

ウルヴァリン:X-MEN ZERO

Xメンの前日譚。いかにしてXメン=ウルヴァリンが誕生したのかがわかる。一回目は寝落ちしたので、再度DVDを見直してみて、なかなか面白いということに気付いた。シリーズ本編よりも面白いのではないか。無常感が漂う、かなり大人のテイストになっているから…

X-MEN:ファイナル ディシジョン

やはりこのシリーズは面白い。シリーズ第3作は、これだけ見ても十分面白い。てか、前2作をほぼ忘れているので、わたしとしてはこれだけで単作扱い(汗)。 しかし、登場人物(ミュータント)が多すぎて名前と顔が一致しない! 最後まで誰が誰だかよくわから…

さよなら歌舞伎町

細かく何回にも分けて観たから、ストーリーがいまいちよくわからなくなってしまったが、なかなかに面白い群像劇。 新宿・歌舞伎町のラブホテルが舞台だけあって、身体を張った女優の演技が続出するのだが、わけありの人々ばかりが登場するホテルの24時間は結…

二ツ星の料理人

次々と画面に出てくる料理がとにかくおいしそうでたまりません。画面にアップにされる料理の数々にはため息。わたし自身は一生食べることはないだろうけれど、見ているだけで幸せになれる。と同時に、こんな料理を食べ続けることができる人たちってどういう…

トリコロール 赤の愛

かつて、青・白・赤の順に(つまり正順)見た三部作、お気に入り度もこの順だった。今回は久しぶりに見ることになり、逆から見てみようという気になった。しかし、ラストシーンを見て、この映画はやはり青と白を見ていないと面白さがわからないんだと判明し…

ジェイソン・ボーン

公開されるたびに見に行っているのだから、今回も当然劇場へ。「君の名は。」ほどではないが、かなり入りがいい。で、これまでもたいていこのシリーズは爆睡していたのだが、今回もやっぱり。それもこれもポール・グリーングラスのいつものあの撮り方のせい…

レッドタートル ある島の物語

いまや「『君の名は』難民」と呼ばれるほど大ヒットしている新海誠のアニメと違って、こちらはスタジオジブリの作品だというのに、劇場はガラガラである。こんなにクオリティの高いアニメなのに、なぜ見向きもされないのだろう。その答えは、これが全編セリ…

トラッシュ! -この街が輝く日まで-

ダルドリー監督の映画のなかで、初めて眠気を催したもの、という意味で画期的な作品かもしれない。最後まで起きていられなくて、何度寝落ちしたかわからない。 サスペンスのはずなのに緊張感に乏しく、実話ではないだろうに実話とリンクさせた物語には疑問符…

オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分

場面は高速道路を運転する車の中だけ。上映時間86分は劇中の時間経過と同じだ。登場するのは一人だけで、あとは彼が運転しながら電話でしゃべる相手が声の出演だけをする、という斬新な作品。アイデア勝負みたいな映画であり、確かに飽きることはないのだが…

クローバーフィールド/HAKAISHA

事件が起きるまでの19分が長すぎる。あまりにも退屈なので何度も時計を確認する。これ、もうすぐアレが起きる、と知っているから我慢できるが、何も知らずに映画館へ行った観客は帰ってしまうか寝てしまうんじゃないか。 普通の日常がある日突然大いなる災厄…

消えた声が、その名を呼ぶ

当初の予想を超えた壮大な話だったのには驚いた。思わず2回観たが、2回目のほうが短く感じたのは不思議だ。 第1次世界大戦時のオスマン・トルコによるアルメニア人虐殺は、当のトルコだけがその事実を認めず世界中から非難を浴びている事件だ。死者は100万…

ティエリー・トグルドーの憂鬱

憂鬱な中年男の話? いやいや、もう個人的な憂鬱を超えている話。 映画の作風はダルデンヌ兄弟のよう。つまり、手持ちカメラのドキュメンタリータッチ、アップ多様、長回し。 フランスの夏休みは二か月もあり、バカンスシーズンのパリからはフランス人がいな…

ロング・トレイル!

アパラチア山脈3500キロを踏破するという老人二人組の奮闘物語。典型的なバディものでかつロード・ムービー。でも、青春物語ではなく老人瀕死物語なので、そこはかとなく悲哀が漂いかつ爆笑ポイントが多すぎる、とっても楽しいお話。原作は人気ノンフィクシ…

シン・ゴジラ

今年の日本映画はこれで決まり! 1回目は2Dで鑑賞。2回目は4DXで。 やはりゴジラ映画は日本のものなのだ。と同時に、これまで誰も見たことがないゴジラ映画がここに完成した。危機管理映画として前例のない作品が、このたびの「ゴジラ」である。ひとたび大…

マリーゴールド・ホテル 幸せへの第二章

今回は中高年に絶大な人気を誇る(?)リチャード・ギアをゲストに迎えたのはいいけれど、お話は新鮮味がなく、続編の難しさを感じさせるものとなってしまった。 インドにある、外国人観光客向けのホテル「マリーゴールド」では、イギリスからやってきた高齢…

マリーゴールド・ホテルで会いましょう

3年前にDVDで見た作品なのだが、最近続編を見たので、せっかくだから2作品の感想を一度にアップします。 インド映画なのにすがすがしい。いや、インドが舞台だけれど、イギリス映画だ。そういう雰囲気がいい。 歳を取って、最期の地をインドに求めてやってき…

アーロと少年

「ペット」のような大活劇のめまぐるしいアニメを劇場で見た後でこういう鉄板ものの心温まるアニメを見ると、ほっとする。DVDを一度に見たわけではなく、何度かに分けて、しかも日本語版と英語版を交互に見たものだから、誰がどの声だったかわからなくなると…

ペット

夏休みの昼間ということもあってか、劇場内はけっこうな入り。上映中、後ろの席の幼児が大きな声で笑うのが可愛くてたまらなかった。 もちろん日本語吹き替え版で見たわけだが、本物の役者たちがアニメの吹き替えをすると、それらしい声を出すところが驚きだ…

エクス・マキナ

アカデミー賞視覚効果賞を受賞しただけあって、ロボットのデザインが秀逸で、人口皮膚がベロリとはがれるシーンのグロテスクさもたまらない。しかしそれ以外の部分にあまり見どころを感じないのが短所。 もともとのストーリーの発想は極めて興味深い。AI(人…

みなさん、さようなら

同じタイトルのドイツ映画があったが、あちらは安楽死の話。こちらは小学校の学級会の最後に「先生、さようなら。みなさん、さようなら」と大きな声で児童が言う、あの言葉に由来する。 つい先日、坂本順治監督の「団地」を見たばかりなので、団地つながりで…