吟遊旅人ピピのシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。感謝。

いつだってやめられる 10人の怒れる教授たち

これは楽しい。三部作の第2作なので、第1作を見ていないことが返す返すも悔しいけれど、この第2作だけ見ても十分ストーリーは理解できる。仕事にあぶれた研究者たちが犯罪に手を染めて、その犯罪歴を帳消しにしてもらうために警察に協力する、というお話。ま…

アバウト・タイム ~愛おしい時間について~

ちょっと変わったタイムスリップもの。といっても、行けるのは過去だけで未来は無理。自分の経験がたどれるだけで、他人のは不可能なので過去に行ってヒトラーを暗殺できない。 で、何がいいかというと失敗を全部やりなおせるってことと、同じ本を何度も読め…

ゲティ家の身代金

大学院の授業の折に、INUE先生がヨーロピアナの解説をされていて、「ゲティ財団のおかげでヨーロピアナで日本の著作者を日本語で検索できる」とおっしゃった。その言葉聞いた瞬間に映画マニアの社会人院生IMNさんが目を輝かせて、「それはひょっとして『ゲテ…

セトウツミ

究極の脱力系コメディ。よくぞこんな作品を映画にしたもんだ。これ、お金払って劇場で見てたら怒るよね、ほんま。でも面白い。音楽がタンゴ、というところも人を食ったみたいで良い。 高校生が二人、暇を持て余して放課後の河原に座ってああでもないこうでも…

あの日 あの時 愛の記憶

アウシュヴィッツで出会ったポーランドの政治犯の男とドイツ系ユダヤ人の女。男はどういうわけか収容所内でカポのような役目を担っていたのか、ドイツ兵に賄賂をわたし、それなりの厚遇を得ることができていた。男女が別々に収容されているはずの収容所内で…

スリー・ビルボード

もうすぐビデオリリースされるので、ぜひおすすめの一作を。今年は映画豊作年で、ナンバーワンと思う作品がすでに4作もあるよ! うれしいねー。 娘をレイプされ殺された母親が、捜査が進展しないことに業を煮やして国道沿いに3枚の看板(ビルボード)を出し…

Re:LIFE~リライフ~

若くして大ヒット作を書き、アカデミー賞も受賞した脚本家が、その後15年も鳴かず飛ばずでついに田舎大学の脚本コースの教師になる、というお話。くたびれたやる気のない中年大学教員をヒュー・グラントがまさに適役!って感じで楽しく演じている。 主人公キ…

マルクス・エンゲルス

二人の出会いから「共産党宣言」が書かれるまでを描く、青年マルクスとエンゲルスの物語。今年が生誕200年になるのを記念してカール・マルクスを主人公に映画を作ってみました、というもの。ひょっとしてマルクスが主人公の映画って初めて見たかも。これまで…

光の旅人 K-PAX

長さをまったく感じさせない、隙のない演出。ストーリーでぐいぐい押していく異色のSFだ。CGなんて一切必要ない。 ある日突然ニューヨークの駅頭に現れた男は自分のことをK-PAX星人だと名乗る。精神病院に収容されて治療の対象となるが、その言動が常識を超…

ボストン ストロング~ダメな僕だから英雄になれた~

2013年のボストン・マラソンで起きた爆弾テロ事件の被害者の「その後」を描く。同じ事件を描いた「パトリオット・デイ」が犯人を追う警官を主人公にしたサスペンスだったのに対して、こちらは事件そのものよりも、両脚を失った主人公がいかにして苦しみから…

蝶の眠り

韓国人監督が脚本を書き、日本でロケしたラブストーリー。ヒロインがアルツハイマー病を発症しているという設定は韓国映画「私の頭の中の消しゴム」と同じだが、こちらはヒロインの年齢が高く、すでに五十代になっている。主役の中山美穂はあまりにもスタイ…

君の名前で僕を呼んで

映画的至福の時、というのはこの映画を観ている瞬間を指す。これほど、見ていることが幸せでたまらない映画というのも少ない。1983年の北イタリアを舞台にした美しき青年たちの恋。ただそれだけが描かれているのに、この豊穣の光と水と心地よい会話の流れる…

アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル

フィギュアスケート選手のナンシー・ケリガンが襲撃された事件のことは覚えていたが、「真相」なるものは知らなかったし、ましてやトーニャ・ハーディがその後どうしているかもまったく興味がなかったのだが、アカデミー賞効果は絶大で、トーニャの鬼母を演…

ザ・スクエア 思いやりの聖域

冷汗が背中を流れそうなブラックコメディ映画。もう、見ているだけで息が苦しくなってくる。しかし、その割に長さを感じさせないのだから、優れた映画であることも確かだ。カンヌ映画祭パルムドール受賞作。 舞台はスウェーデンの現代芸術を扱う美術館。主人…

ニッポン国VS泉南石綿村

大阪府泉南地方のアスベスト被害者が国を相手に起こした訴訟の経過を追ったドキュメンタリー。4時間近い長尺だが、見てよかったと心から思える作品だった。前半のお行儀のよいドキュメンタリー映画にぼちぼち退屈し始めたころに「休憩」が入る。そして後半は…

ウィンストン・チャーチル

メリル・ストリープのサッチャー首相もすごかったが、ゲイリー・オールドマンのチャーチルには戦慄を覚える。流石はアカデミー賞のメイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞しただけのことはある、驚くばかりの変貌ぶり。声もずいぶん落として低く響く声、老…

外泊

2007年6月30日に始まった、ホームエバー・ハイパーマーケットの労働争議を追ったドキュメンタリー。解雇通告を受けた500名の女性パート労働者がスーパーのレジを占拠し、泊まり込みをするという、「結婚して以来初めての外泊が労働争議」という女性たちの闘…

ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書

時は1967年。ベトナム戦争でアメリカの敗戦は必至と見られる報告書がロバート・マクナマラ国防長官に届けられた。しかし、彼はその事実を隠す。それから4年後、その文書の存在がニューヨーク・タイムズによってすっぱ抜かれた。これがのちにペンタゴンペーパ…

15時17分、パリ行き

これは事件が起きてからさほど時間がたっていないため、ほとんど何の説明もなくても観客がすぐに「ああ、あれね」とわかるというところが得している作品だ。 2015年にヨーロッパで起きた実際のテロ事件をそのまま再現する映画であり、ほんとうに「そのまま」…

グレイテスト・ショーマン

巻頭からの派手なショーは、「ラ・ラ・ランド」と同じ作風(作詞・作曲は同じでも監督は違うのにね)。まあ、ここは定番のつかみの部分でしょう。 時代はぐっと遡って1800年代。実在したアメリカのショービジネス界の草分けと言われているP・T・バーナムの…

苦い銭

BGMなし、ナレーションなし、ほとんどテロップなしの3時間近いドキュメンタリー。 出稼ぎ労働者が住民の8割を占めるという浙江省湖州にやってくる、雲南省出身の若者たちの働く姿を淡々と映し出した映像がつながっていく。この町の個人経営の縫製工場は18,0…

クンドゥン

ダライ・ラマ14世の出生からインド亡命までの22年間を描く伝記映画。ダライ・ラマ14世の伝記的事実をまったく知らなかったために、すべてのシーンが興味津々だったが、大腸カメラの疲れが出て途中爆睡。 20年前の映画だけれど、ブルーレイの画像はため息が出…

予告犯

派遣労働者が職場でいじめに遭って退職。やがて住むところもなくなってネットカフェを転々とする日雇い労働者へと転落する。その結果、社会に対する憎悪を募らせた彼は仲間を引き込んで、ネットで次々と犯罪予告動画を流し、実行していく。その姿は新聞紙を…

GF*BF

1985年から27年にわたる三人の青春物語。巻頭は2012年。双子の姉妹が高校で校則反対運動を華やかに陽気にはじけるように始める、その瞬間から始まる。姉妹の父親が学校に呼び出され、そこから物語は一気に1985年の台湾へと飛ぶ。戒厳令下に抵抗運動が盛んだ…

2017年の映画

前の記事でマイベストを書きましたが、それ以外に印象に残った作品、お薦めしたい作品は以下の通り。 2017年の映画の感想は遡って書いていきます。 本日早速5本書きました。EIGHT DAYS A WEEK -The Touring Years TAP THE LAST SHOW ☆あさがくるまえに ☆ ア…

パディントン2

前作よりかなりグレードアップした大アドベンチャーものに。アクションシーンも楽しく見どころたっぷり。随所に爆笑シーンが練り込まれ、脚本も凝っていて随分楽しめた。伏線がいちいち回収されていくのにはおお笑い。 「リ・ライフ」で落ち目の脚本家を演じ…

ジオストーム

インフルエンザからの病み上がり第一作に相応しい、脳みそ空っぽでも楽しめる作品。 アンディ・ガルシアが大統領でジェラルド・バトラーが科学者って、何かの間違いですか(笑)。どう見てもマフィアのドンとヒットマンにしか見えない。こういう怪しいキャステ…

完全なるチェックメイト

ボビー・フィッシャー、なんとなくその名は聞いたことがある、という事実に途中で気づいた。そう、彼はチェスの天才で、アメリカ人初の世界チャンピオンになった男だ。天才の名をほしいままにした変人奇人である。 映画は、ボビーの少年時代から、世界チャン…

13時間 ベンガジの秘密の兵士

劇場未公開だけれど、大迫力の戦闘映画。2012年9月11日に起きたリビアのアメリカ領事館襲撃事件の13時間に迫る。知った顔の役者がいなくて、戦闘の場所やら組織が二つあってその上、「敵」というのが何なのかわからず、リビアの親米民兵もいるからいったい誰…

ルイの9番目の人生

ファンタジー色に染められたサスペンス。こんな不思議な映画もあるんだ、と瞠目。 これは演出に賛否両論が出そうな出来だが、つまり、ファンタジーなのかミステリーなのかはっきりしない中途半端さが子供だましっぽい、という点。しかし、わたしはこういうミ…